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楽しい介護とはなにか考えてみる

介護従事者の皆さまは、「介護、楽しいですか」と尋ねられたらなんと答えますか。

このシンプルな問いかけは、時折自分自身にも投げかける大切な問いです。なぜなら、”楽しい”という感情は、なにかを決断する際、介護に関わらず、一番の判断基準になることが多いからです。楽しかったら続けてみるし、楽しくなかったら何かを変えてみる。これの繰り返しを自分は続けてきているように思います。

さて、話は戻りますが、この問いかけを仲間内にも投げかけると、比較的ポジティブな返答が多い気がしています。この理由は様々ですが、よく聞くのは「ありがとうと声をかけてもらえるから」「尊い仕事だから」「お年寄りが好きだから」などなどです。

ですが、実はこれらの理由は、介護の仕事を選んだ理由やそこに注ぐ”想い”であって、楽しいことを直接説明する理由ではないことが多いと思います。なぜなら、たとえお年寄りが好きでも、不快な場面に数多く遭遇することで、楽しいはずのものが、楽しくないものになりかねないからです。逆に言い換えれば、お年寄りに興味がなくても、愉快な場面に数多く遭遇すると、介護が楽しくなるかもしれません。

つまり、楽しいという感情は、場面から生じるということです。もちろん、同じ場面でも人によって楽しさが生じるポイントは異なるでしょう。しかし、想いではなく場面が楽しいを生み出すということは個人差なく共通していることかと思います。では、なぜ私がこの”楽しい”という感情を取り上げたかというと、(もし、私の感覚に一定程度の普遍性があれば)物事を継続しようと思わせるチカラが”楽しい”にはあると思っているからです。

そこで具体的に、介護現場で”楽しい”と思う場面はいつなのか、考えてみました。

楽しいと思う場面
① 利用者や仲間と良好な関わりができているとき
② 仲間と目標を共有し、共にそれを成し遂げたとき     

他にありそうな気もするのですが、ほとんどがこの2つのどちらかに当てはまるような気がしています。感覚的には①75%、②20%くらいです。どちらにも共通していることは必ず相手がいることです。あたりまえのことを言っているようですが、介護現場を1人ではなかなか楽しめません。私たちは利用者や仲間と共に楽しい場面をつくっているのだと改めて思います。

そこで私は、介護士は利用者との関わりをもっと楽しんでよいと考えています。
利用者の楽しさを追求するために、自らの意向を示さない介護士の方々も数多くいらっしゃいます。それも一つの介護の方法ではありますが、介護士が仕事で楽しいと思う場面には、利用者との関わりが含まれます。
介護士の仕事の目的の一つは利用者に日常生活を楽しんでもらうことです。しかし、人と人の関わりで、一方のみが常に楽しい状態というのは自然ではありません。介護士が利用者との関わりを積極的に楽しむことで、それを感じて利用者も一緒に楽しむことができる。そんなWin-Winな関係づくりを築いていく必要があると私は思っています。

では、利用者との関わりを楽しむためには現場では何ができるでしょうか?過度な仕事モードにならないことが1つの方法だと思います。節度はわきまえなくてはなりませんが、たまには自らの感覚を基準にして日常的に楽しいと思える会話やイベント企画をする。そんな我儘を通してもいいのかもしれません。それは結果的に、利用者の”楽しい”にも繋がっていくことがあると経験的に感じています。

私には、そしてきっと皆さまにも、介護に馳せる思いや、介護士という仕事を通じて成し遂げたいことがあるかと思います。しかし、”想い”の力だけで介護を続けることは困難です。業務の中で利用者を思いながら、そして自分自身にも適度な優しさを持ちながら”楽しい”を想いのブースターにしていけたら素敵だと思います。

次回は、私が”楽しい”介護を仲間と共にどのように実践しているのかシェアしていきたいと思います。

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