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I/O コンバーター機器の自社開発を方針として掲げ、IoT システムの構築により、生産性向上と新規事業の展開につなげた企業(中小企業白書2021年度版より)

本日は、「第2部 危機を乗り越える力」「第2章 事業継続力と競争力を高めるデジタル化」の続きです。
「第4節 中小企業におけるデジタル化に向けた組織改革」より、今回は「I/O コンバーター機器の自社開発を方針として掲げ、IoT システムの構築により、生産性向上と新規事業の展開につなげた企業」の事例について紹介します。
以下、「中小企業白書2021年度版」から引用します(以下特記なければ、画面キャプチャ含めて同じ)。
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I/O コンバーター機器の自社開発を方針として掲げ、IoT システムの構築により、生産性向上と新規事業の展開につなげた企業
所在地:東京都調布市
従業員数:60名(国内)
資本金:1億円
事業内容:その他の生産用機械・同部分品製造業
協栄プリント技研株式会社

IoTシステム開発に成功も、機器導入コストがハードルに
東京都調布市の協栄プリント技研株式会社は、プレス金型製造や微細加工部品製造を手掛ける企業。自社に合ったIoTの導入を模索する中、2016年から本業に親和性のある工作機械をプラットフォームにしたシステム構築に取り組んだ。システム構築に当たっては、ファナック株式会社のIoTプラットフォーム「MT-LINKi」をベースに開発した。しかし、開発したシステムを工場で運用するには工作機械1台に対しおよそ10万円のI/Oコンバーター機器が必要となり、100台の工作機械をつなげば、相当な金額になってしまうことが当初の課題であった。

安価なIoT機器を自社開発し、社内の大幅な生産性向上を実現
そこで、小林明宏社長は「汎用品とは異なり機能を絞ることで安価にする」との方針を掲げ、I/Oコンバーター機器の自社開発に乗り出した。コスト面から着目したのは海外生産で、同社の工場がある中国・ベトナムを軸に検討。社内の技能実習生からの情報を基に、ベトナム企業との協業に踏み切り、I/Oコンバーター機器の自社開発を実現した。

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同社が構築したIoTシステムは「KPG IoTソリューション」と名付け、2020年8月に本社工場・中部工場(岐阜県海津市)・大阪サテライト(大阪府泉佐野市)・ベトナムのハノイ工場に導入し、仮想私設網(VPN)接続。社内ネットワークに接続すれば、これら工場の機械稼働状況を見ることができるようになった。導入に合わせ、生産管理ソフトウェアの刷新・CAD/CAMシステムのカスタマイズも行い、2017年上期は会社全体の残業時間が2,170時間だったものが、2019年上期には1,331時間にまで減少した。

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外販に取り組んでいくことで、新たな事業の柱に
自社の成功体験を基に、同社では、多くの中小製造業で活用されている汎用機や旧型の制御器を搭載している装置にも対応可能な同ソリューションを新規事業として立ち上げた。工作機械20台100人規模の工場での導入コストを100万円以下に抑えることで、当面は国内・東南アジアへの拡販に力を入れている。自社のIoTシステム導入コスト削減のために開発した製品だったが、現在はこうして新たな収益源にもなっている。
現在、同社では機械をつなぐ・見える化までのIoTシステム構築に続いて、集めたデータを分析、生産改善への活用、更にトラブル予防に役立てる機械学習モデルの構築に取り組む。工作機械の異常検知を目的として、ソフトウェア関連のメーカーとも協業を始めた。同社が最終的に目標としているのは生産ラインの無人化で、2021年度からは協働ロボットを導入する予定。自社でシステム構築を実現したことについて、「社内に新しいことに楽しんで取り組む風土があり、ITに関する知識もそれぞれの社員が率先して勉強している。今後は資格を持った人材も積極的に採用し、機械学習モデルの開発を進めていきたい。」と小林社長は語る。
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社内、複数拠点の工作機械をネットワークで「見える化」し、低コストで飛躍的に生産性を高めた事例です。
この企業では、この仕組みを外販することで新たな収益源にもなっています。
確かに20台の工作機械をネットワーク化するのが100万円でできるというのは工場を外注している立場ではありますが、劇的に安い感じがします。

我々も自社開発するシステムがありますが、本当に便利なものができれば外販することも考えてみたいです。

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