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食料自給率と食料自給力(令和元年度食料・農業・農村白書より)

本日は、農林水産省のまとめている、「食料・農業・農村白書」から「食料自給率と食料自給力」について紹介します。

以下、特記した場合以外、引用は「令和元年度食料・農業・農林白書」から、図はそちらからのキャプチャー画像です。

「食料自給率」よく聞きますが、国の定義は、次の通りです。

「我が国の食料全体の供給に対する国内生産の割合を示す指標」
品目別自給率:以下の算定式により、各品目における自給率を重量ベースで算出

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総合食料自給率:食料全体における自給率を示す指標として、供給熱量(カ
ロリー)ベース、生産額ベースの2通りの方法で算出。畜産物については、輸入した飼料を使って国内で生産した分は、国産には算入していない。

・供給熱量(カロリー)ベースの総合食料自給率:分子を1人・1日当たり国産供給熱量、分母を1人・1日当たり供給熱量として計算。供給熱量の算出にあたっては、「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」に基づき、品目ごとに重量を供給熱量に換算した上で、各品目の供給熱量を合計。

・生産額ベースの総合食料自給率:分子を食料の国内生産額、分母を食料の国内消費仕向額として計算。金額の算出に当たっては、生産農業所得統計の農家庭先価格等に基づき、重量を金額に換算した上で、各品目の金額を合
計。

飼料自給率:畜産物を生産する際に家畜に給与される飼料のうち、国産(輸
入原料を利用して生産された分は除く)でどの程度賄われているかを示す指
標。「日本標準飼料成分表(2009年版)」等に基づき、TDN(可消化養分総
量)に換算し算出。

次の図が日本の食料自給率の変化をグラフにしたものです。

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長期的には、低下傾向にありますが、この10年でいうと、生産額ベースで66%程度、供給熱量ベースで40%弱で推移しています。

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長期的に食料自給率が低下してきた理由は、上の図の比較を見るとよくわかりますが、国産でまかなうことができる「米」の消費が減少した一方で、飼料や原料の多くを海外に頼らざるを得ない「畜産物」や「油脂類」等の消費が増加したことによるものです。


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供給熱量ベースの総合食料自給率が下がっているのは、国産米熱量の減少、その他の品目(水産物や野菜等)の国産熱量の減少によるようです。

生産額ベースの総合食料自給率の変動の要因です。

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最近の食料価格の上昇によって分母の「国内消費仕向額」が増えています。また、「国内生産額」についても、高付加価値商品へのシフトや、生産量の微減傾向による価格上昇で畜産物、野菜、果実などの生産増で、増えているようです。

供給熱量ベースよりも生産額ベースの食料自給率が高いのは、日本の農業が畜産物、野菜、果実等の付加価値の高い作物を生産していることに起因しているようです。
これに対して、小麦や油脂類などカロリーの高い土地利用型作物は、海外生産に依存していることが影響しています。

食料国産率という考え方もあります。
輸入飼料を使った畜産物も「国産率」には入りますが、は食料自給率には入らないのが違いです。

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このため、飼料自給率も合わせて考えておく必要があります。

続いて「食料自給力」です。
国の定義は次の通りです。

国内農林水産業生産による食料の潜在生産能力を示す概念。
その構成要素は、農産物は農地・農業用水等の農業資源、農業技術、農業就業者、水産物は潜在的生産量と漁業就業者

食料自給力指標
我が国の農地等の農業資源、農業者、農業技術といった潜在生産能力をフル
活用することにより得られる食料の供給熱量を示す指標
生産を以下の2パターンに分け、それぞれの熱量効率が最大化された場合の
国内農林水産業生産による1人・1日当たり供給可能熱量により示す。加え
て、各パターンの生産に必要な労働時間に対する現有労働力の延べ労働時間の充足率(労働充足率)を反映した供給可能熱量も示す。
① 栄養バランスを考慮しつつ、米・小麦を中心に熱量効率を最大化して作付け
② 栄養バランスを考慮しつつ、いも類を中心に熱量効率を最大化して作付け

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「食料安全保障」の観点から、国内の農地等を最大限活用した場合、どの程度の食料が得られるのか、という「潜在生産能力」を把握するものです。
「米・小麦中心の作付け」よりも「いも類中心の作付け」の方がカロリーベースでは高くなります。
戦争中にいもを食べた、という話を耳にしますが、そういう都合もあるんですね。

国産の高付加価値な農作物からの良い循環を回すことで、日本の生産者も潤います。海外から農産物が入ってこなくなる、という事態はあまり想像したくありませんが、こういう時代ですので、あらゆる想定をしておかねばなりません。
しかし、庭を耕して畑にするような事態にならないよう、平和な日本を維持し、次の世代にバトンタッチしていかなければなりません。


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