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日本の食料消費の動向(令和元年度食料・農業・農村白書より)

中小企業白書を読み込んできて、とても役立つことに気づきましたので、改めて政府のまとめている白書一覧を見て、気になるところをつまみ読みしています。
本日は、農林水産省のまとめている、「食料・農業・農村白書」から「食料消費の動向」について紹介します。

以下、特記した場合以外、引用は「令和元年度食料・農業・農林白書」から、図はそちらからのキャプチャー画像です。

2015年(平成27年)の日本の農林水産物の生産・流通・加工・消費の流れをまとめたものです。

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2015年、食用農林水産物11.3兆円(国内生産9.7兆円、輸入1.6兆円)と輸入加工食品7.2兆円が食材として国内に供給されました。
これらの食材は、食品製造業、食品関連流通業、外食産業経由で流通経費、加工経費、調理サービス代等が加わったのちに消費されます。
この結果、飲食料の最終消費額は83.8兆円となりました。
2015年の日本の総人口推計(総務省)が 127,094,745人ですので、国民一人当たり年間659千円、月55千円、という計算になります。
何となく体感よりも高額な気がしますが、外国からの旅行客の消費などが入っていないから?食品ロスが発生しているからでしょうか。

1980年から2015年までの最終消費額の推移です。

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飲食料の最終消費額は、1995年以降減少してきていましたが、2015年は、円安による輸入食品の価格上昇等の理由で2011年に比べ10%増加しました。
2015年の飲食料の最終消費額の内訳は、生鮮品等14.1兆円、加工品42.3兆円、外食27.4兆円となっています。
食の簡便化や外部化等により、加工品と外食の合計で、全体の8割超となっています。

二人以上の世帯における、年齢別に見た、一人1か月あたりの食料消費額の推移です。
こちらは総務省の「家計調査」をベースにしています。

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2000年から2019年にかけての推移ですが、70歳以上は304円増加の27,972円、60歳代は91円増加の28,723円と微増です。これに対して、29歳以下、30歳代、40歳代ではいずれも1,500円以上減少しています。
60歳ぐらいから食料消費支出の傾向が変わっているようです。
60歳以下の年齢では長期的に減少傾向にあるんですね。
なお、2019年は、外食、調理食品、飲料の需要の増加や消費税率引上げ実
施前の酒類、飲料の需要の増加等の要因で、食料消費額は増加しています。60歳代では前年比1,015円増加、50歳代では889円増加となりました。

日本政策金融公庫の消費者動向等調査の結果です。

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消費者の食の志向を年齢別に見るとおおむね「健康志向」、「手作り志向」、「国産志向」は年齢に従って高くなります。
一方で、「簡便化志向」、「経済性志向」、「美食志向」は年齢が低いほど高くなっています。調理食品は、若年世代に需要があると言えそうです。
10年前と比べると「簡便化志向」は全ての年代で伸びており、特に20から40代では10ポイント以上増加しています。
「経済性志向」は、50代で8ポイント増加していますが、30代では7ポイント、40代では10ポイント減少しました。
若年層の消費支出先が食料以外に向かっている(スマホ等?)のでしょうか。
「安全志向」は、20から30代で5ポイント以上増加していますが、50から60代では5ポイント以上減少しました。日本の管理体制がそれなりに信用されているということでしょうか。

続いて食事への関心度です。

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「食べることへ関心がある」という人が大体8割程度。
2016年と2019年の比較でどの世代も関心が下がっているのが気になります。
また、年齢が高くなるにしたがって、関心度が高まる傾向にあります。
関心がある理由は、さすが20代に「おなか一杯になること」が8.9%ありますが、おおむね「おいしいものを食べること」がメインです。「栄養成分や機能成分」、「いろいろな種類のものを食べること」という理由は年代が高くなるほど高まります。
「人と一緒に食べること」が高齢世代に多いのも、コロナ禍での消費行動の中でも何となく思い当たりますね。

食料支出額の内訳です。

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どの世代でも、生鮮食品の消費が減少し、調理食品と外食の消費が増加しています。
二人以上の世帯で調理食品の支出を比較すると、10年前と比べて主食的調理食品は294円の増加、他の調理食品は361円増加しています。
年齢別に調理食品の支出を見ると、60歳代で1,040円増加しているのが目立ちます。
一方、単身世帯では、二人以上の世帯に比べて調理食品の支出が多く、10年前と比べて主食的調理食品は83円増加し、他の調理食品は542円増加しています。特に35から59歳以下では862円増加と支出が伸びています。

たまに報道で目にすることはありますが、各省庁の「白書」を読んでみると、自社の計画策定、方針決定等に役立つことがありますね。
マスコミ報道だけではなく、元の資料にあたって、自分の頭で考えることで、偏りのない良い判断ができそうです。

現在中期経営計画を立案中ですが、市場動向等、きちんとしたデータに基づいて考えるようにしなければなりません。

伍魚福では「お酒と食に対する好奇心旺盛な人」をターゲット顧客に設定しています。そういう方の「おいしいものを食べたい」、「いろいろなものを食べたい」というニーズにお応えするには何をすべきか。
消費者の嗜好は、コロナ禍によっても大きく変化しています。
ニーズについて深く考え、我々の提案もどんどん変化させなければなりません。努力を続けます。

最後までお読みいただきありがとうございました! 伍魚福の商品を見つけたら、是非手にとってみて下さい。社長のいうとおりになってないやないかーとか、使いづらいわー、とか率直なコメントをいただけるとうれしいです。 https://twitter.com/yamanaka_kan