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事業承継を通じた企業の成長・発展①事業承継の現状(1)経営者交代(中小企業白書2021年度版より)

本日は、「第2部 危機を乗り越える力」「第3章 事業承継を通じた企業の成長・発展とM&A による経営資源の有効活用」の続きです。
「第1節 事業承継を通じた企業の成長・発展」より、今回は「2.事業承継の現状と事業承継実施企業のパフォーマンス ①事業承継の現状(1)経営者交代」について紹介します。
以下、「中小企業白書2021年度版」から引用します(以下特記なければ、画面キャプチャ含めて同じ)。
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2.事業承継の現状と事業承継実施企業のパフォーマンス
ここまで休廃業・解散と経営者の高齢化の状況について見てきたが、それらの状況も踏まえて、ここからは、中小企業の事業承継の現状について確認し、さらに事業承継実施企業のパフォーマンスについて分析する。

①事業承継の現状
(1)経営者交代

はじめに、事業承継の現状について見ていく。
事業承継は一般的に「人(経営)」の承継のほか、株式を始めとした「資産」の承継などを含むが、ここでは、経営者の交代という観点から事業承継
について分析する。
第2-3-16図は、(株)東京商工リサーチの「企業情報ファイル」を基に集計した経営者交代数(注)の推移である。
(注)ここでは、(株)東京商工リサーチが保有する「企業情報ファイル」のうち、経営者氏名(漢字)、経営者氏名(カナ)、経営者生年月日のうち、二つ以上が前年と変化していた場合に経営者交代とみなしている。

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これを見ると、経営者交代数は年間3万6千件前後で推移しており、毎年一定程度経営者交代が行われていることが分かる。

第2-3-17図は、経営者交代を実施した企業の交代前後の経営者平均年齢を従業員規模別に見たものである。

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これを見ると、規模が小さい企業ほど交代前の経営者年齢は高く、規模が大きい企業ほど交代前の年齢が低いことが分かり、規模が小さい企業では事業承継時期が相対的に遅い傾向にあることが分かる。一方で、交代後の経営者年齢は規模が小さい企業ほど低く、規模が大きい企業ほど高くなっており、規模が小さい企業の方が事業承継により経営者年齢が若返る傾向にあると言える。

続いて、第2-3-18図は、承継方法別に経営者交代前後の経営者平均年齢を見たものである。

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これを見ると、交代前の経営者年齢は同族承継で68.9歳、同族承継以外で63.2歳と、同族承継では事業承継時期が遅くなる傾向にあることが分かる。同族承継においては、子息などの後継者が一定の経験や年齢を重ねるのを待って事業承継するために、結果的に承継時期が遅くなっている可能性が考えられる。一方で交代後の経営者平均年齢は同族承継で46.8歳、同族承継以外で54.5歳と同族承継の方が若い年齢で経営者に就任していることが分かる。

次に、現在の経営者の就任経緯について確認する(第2-3-19図)。

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これを見ると、半数以上の企業では、先代経営者の親族が経営者に就任していることが分かる。

続いて、近年事業承継をした経営者の就任経緯について確認する(第2-3-20図)。

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これを見ると、近年同族承継の割合は減少しており、足元の2020年においては、内部昇格と同水準の34.2%となっていることが分かる。事業承継の方法がこれまで主体であった親族への承継から、親族以外への承継にシフトしてきていることが分かる。
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中小企業の経営者交代の状況です。
東京商工リサーチの企業データの「経営者氏名」「生年月日」が変化した場合を経営者交代として分析されたものなので、大体の企業が網羅された正確なデータと言えるでしょう。

毎年4%弱の企業で経営者が交代し、新社長が36,000人程度誕生します。
従業員規模の小さい企業の方が交代時の前社長の年齢が高く(67歳)、新社長が若い(49歳)傾向にあります。
私が社長に就任したのは、39歳。平均よりはかなり若かったんですね。
前社長は当時69歳。これは平均より高いです。

全体の半分程度が、同族内での事業承継です。
ただし、この比率は近年低下気味です。
少子化、高学歴化による後継者不在の状況を反映していると思われます。

昔雑誌で、森精機の社長が雑誌のインタビューでおっしゃっていました。
中小企業の経営者に息子がいる確率が2分の1。
息子がまともである確率がそのまた2分の1。
まともな息子が継いでくれる確率がそのまた2分の1。

ちょっと乱暴な推論ですが、8社に1社しかまともな息子への事業承継は困難だ、という話で強烈に印象に残っています。
継いでもらう側から言うと、「継ぎたい」と思えるような会社をつくり、後継者候補に入社してもらい、育成していく努力をするしかありません。

仕事の承継、株式の承継、金融機関の保証・担保提供の承継など同族以外の承継にはかなりハードルが高いです。
後継者のいない企業では、M&Aによる企業売却という選択肢もあります。
会社はゴーイングコンサーン。
次の世代にきちんと引き継ぐのが経営者の一番大事な仕事ですね。

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