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国民が安心できる持続可能な医療・介護の実現、地域包括ケアシステムの構築(令和3年版 厚生労働白書より)

本日は、「第2部 現下の政策課題への対応」の「第7章 国民が安心できる持続可能な医療・介護の実現」、「第4節 地域包括ケアシステムの構築と安心で質の高い介護保険制度」、「2 地域包括ケアシステムの構築」を紹介します。
以下、「令和3年版 厚生労働白書」から引用します(以下特記なければ、画面キャプチャ含めて同じ)。
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第7章 国民が安心できる持続可能な医療・介護の実現
第4節 地域包括ケアシステムの構築と安心で質の高い介護保険制度
2 地域包括ケアシステムの構築
(1)介護予防・健康づくりの推進

介護予防は、高齢者が要介護状態等になることの予防又は要介護状態等の軽減若しくは悪化の防止を目的として行うものである。
機能回復訓練などの高齢者本人へのアプローチだけではなく、地域づくりなどの高齢者本人を取り巻く環境へのアプローチも含めたバランスのとれたアプローチを行うことが重要との考えに基づき、年齢や心身の状況等によって分け隔てることなく、住民主体の通いの場を充実させ、人と人とのつながりを通じて、参加者や通いの場が継続的に拡大していくような地域づくりを市町村が中心となって推進している。
通いの場がある市町村は、62.2%(2013(平成25)年度)から95.9%(2019(令和元)年度)となり、通いの場の箇所数は43,154か所(2013年度)から128,768か所(2019年度)へと増加の傾向にある。また、高齢者人口に占める参加者の割合は6.7%(2019年度)であり、都道府県別にみると地域差がある状況である。
このため、厚生労働省では、全国で取組みを更に広げていく観点から、通いの場の好事例の紹介や、企業、団体、自治体等における介護予防・高齢者生活支援に資する優れた活動等の奨励・普及を目的とした表彰等を行っている。
2015(平成27)年度以降、前述のとおり通いの場の取組みを中心とした一般介護予防事業等を推進しており、一部の自治体では、その取組みの成果が現れてきている。一般介護予防事業等の取組みは、介護予防に加え、地域づくりの推進という観点からも保険者等の期待の声も大きく、また、高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施の動向も踏まえ、更なる推進が期待される。
このような状況を踏まえ、厚生労働省では、2019年5月から「一般介護予防事業等の推進方策に関する検討会」を開催し、一般介護予防事業等の今後求められる機能やPDCAサイクルに沿った更なる推進方策等の検討を集中的に実施し、12月に取りまとめを公表した。
本取りまとめにおいては、
・通いの場の取組みを始めとする一般介護予防事業は、住民主体を基本としつつ、効果的な専門職の関与も得ながら、従来の介護保険の担当部局の取組みにとどまらず多様な関係者や事業等と連携し、充実を図ることが必要。
・また、こうした取組みをより効果的・効率的に行うためには、PDCAサイクルに沿った推進が重要であり、市町村・都道府県・国がそれぞれの役割を最大限に果たすべき。
とされた。同取りまとめを踏まえ、第8期介護保険事業(支援)計画の実施において、引き続き市町村における地域の実情に応じた効果的・効率的な介護予防の取組みを推進している。

(2)自立支援・重度化防止に向けた保険者機能の強化等の取組みの推進
高齢化が進展する中で、地域包括ケアシステムを推進するとともに、制度の持続可能性を維持するためには、保険者である市町村の保険者機能を強化し、高齢者の自立支援・重度化防止に向けた取組みを推進することが重要である。
このため、全市町村が保険者機能を発揮し、自立支援・重度化防止に取り組むよう、
①データに基づく課題分析と対応
②適切な指標による実績評価
③取組み実績に応じた市町村・都道府県に対する財政的インセンティブの付与
という仕組みを「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」(平成29年法律第52号)により制度化することとした。
また、市町村の人員体制やノウハウの蓄積等の状況は地域によって様々であるため、厚生労働省や都道府県が積極的かつ丁寧に支援していくことが必要である。具体的には、都道府県が市町村を支援することを法律上に明記し、都道府県による市町村職員に対する研修の実施、医療職等の派遣に関する関係団体との調整等を行うこととした。また厚生労働省は、市町村が多角的に地域課題を分析することを支援するとともに、都道府県職員に対して研修等を行い、市町村の取組みを支援していくこととした。
さらに、財政的インセンティブの付与については、2018(平成30)年度より保険者機能強化推進交付金を創設し、2020(令和2)年度には新たに介護保険者努力支援交付金を創設した。これらの交付金は、保険者等の様々な取組みを評価できるよう、客観的な指標を設定した上、交付を行うこととしている。各保険者等には、当該交付金を活用し、地域支援事業、市町村特別給付及び保健福祉事業等を充実し、高齢者の自立支援、重度化防止及び介護予防等に必要な取組みを進めていくことが期待される。

(3)医療・介護の連携の推進
今後、要介護認定率や認知症の発生率等が高い75歳以上の高齢者の増加に伴い、医療ニーズと介護ニーズを併せ持つ高齢者の増加が見込まれることから、在宅医療・介護を一体的に提供できる体制の構築とその連携がますます必要となる。
このため、在宅医療・介護連携推進事業を地域支援事業の包括的支援事業に位置づけ、市区町村が主体となって、以下のア~クの8つの事業項目を実施している。さらに、地域包括ケア強化法により、都道府県による市町村支援を明記し、取組みを強化している。
ア 地域の医療・介護の資源の把握
イ 在宅医療・介護連携の課題の抽出と対応策の検討
ウ 切れ目のない在宅医療と在宅介護の提供体制の構築推進
エ 医療・介護関係者の情報共有の支援
オ 在宅医療・介護連携に関する相談支援
カ 医療・介護関係者の研修
キ 地域住民への普及啓発
ク 在宅医療・介護連携に関する関係市区町村の連携
また、2021(令和3)年4月から在宅医療・介護が円滑に切れ目なく提供される仕組みを構築できるよう省令改正を行うとともに、「在宅医療・介護連携推進事業の手引き(ver.3)」を公開した。
また、地域包括ケアシステムを推進する観点から、医療処置等が必要であるものの、入院する程ではないが自宅や特別養護老人ホーム等での生活が困難な高齢者にも対応可能な受け皿を確保することは重要である。
このため、地域包括ケア強化法において、「日常的な医学管理」や「看取り・ターミナルケア」等の機能と、「生活施設」としての機能とを兼ね備えた新たな介護保険施設を「介護医療院」として2018(平成30)年4月に創設した。2020(令和2)年12月末現在、介護医療院は562施設(35,005療養床)となっている。

(4)高齢者の虐待防止
2006(平成18)年4月に施行された「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」等に基づき、高齢者虐待の未然防止、早期発見、迅速かつ適切な対応を図るため、自治体等と連携して、虐待を受けた高齢者に対する保護、養護者への支援等に係る措置を講じている。
2019(令和元)年度における対応状況は、養介護施設従事者等による虐待の相談・通報件数が2,267件、虐待判断件数が644件であり、養護者による虐待の相談・通報件数が34,0571件、虐待判断件数が16,928件である。
高齢者虐待の件数は増加傾向にあり、より一層の対策が求められる中で、とりわけ市町村等の体制整備の強化が喫緊の課題であることから、都道府県の指導監督部局や市町村の虐待対応部局の実務者等で構成される会議の設置を支援し、虐待における連絡・対応体制の構築や個別の虐待事案に関する定期的な情報共有などについて、都道府県と市町村の連携の強化を推進する。
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「地域包括ケアシステム」という言葉をよく聞くようになりました。
要介護状態になることを防ぐ「介護予防」を住民主体の「通いの場」や企業や団体などが実施することを推奨しています。
また、厚生労働省や都道府県が市町村の介護予防を支援する仕組みも整備されています。
少子高齢化が進む中で、要介護の方は増える一方です。
ほっておくわけにはいきませんので、地域ぐるみで支援するしかありません。

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