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事業承継を通じた企業の成長・発展②経営者の高齢化(中小企業白書2021年度版より)

本日は、「第2部 危機を乗り越える力」「第3章 事業承継を通じた企業の成長・発展とM & A による経営資源の有効活用」の続きです。
「第1節 事業承継を通じた企業の成長・発展」より、今回は「1.休廃業・解散の動向と経営者の高齢化 ②経営者の高齢化」について紹介します。
以下、「中小企業白書2021年度版」から引用します(以下特記なければ、画面キャプチャ含めて同じ)。
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②経営者の高齢化
ここまで見てきたとおり、休廃業・解散企業に占める高齢経営者企業の割合は近年高まっており、休廃業・解散件数の増加の背景には我が国における経営者の高齢化が一因にあると考えられる。ここでは、経営者の高齢化の状況について分析していく。
はじめに、経営者の平均年齢の推移について確認する(第2-3-8図)。

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2009年以降、経営者の平均年齢が一貫して上昇していることが分かる。
2019年には過去最高齢を更新し、経営者の平均年齢は62.16歳となっている。

次に、第2-3-9図は年代別に見た中小企業の経営者年齢の分布である。

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これを見ると、2000年に経営者年齢のピーク(最も多い層)が「50歳~54歳」であったのに対して、2015年には経営者年齢のピークは「65歳~69歳」となっており、経営者年齢の高齢化が進んできたことが分かる。
足元の2020年を見ると、経営者年齢の多い層が「60歳~64歳」、「65歳~69歳」、「70歳~74歳」に分散しており、これまでピークを形成していた
団塊世代の経営者が事業承継や廃業などにより経営者を引退していることが示唆される。一方で、70歳以上の経営者の割合は2020年も高まっていることから、経営者年齢の上昇に伴い事業承継を実施した企業と実施していない企業に二極化している様子が見て取れる。

ここで、経営者の高齢化が企業の業績に与える影響について確認する。
第2-3-10図は、経営者年齢別に増収企業の割合を見たものである。

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これを見ると、経営者年齢が30代以下の企業では増収割合が6割程度であるのに対し、80代以上の企業では4割程度となっており、経営者年齢が上昇するほど増収企業の割合が低下していることが分かる。

また、第2-3-11図は、経営者年齢別に増益企業の割合を見たものである。

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増収企業の割合(第2-3-10図)ほど顕著ではないものの、経営者年齢が上昇するほど増益企業の割合がなだらかに低下していることが分かる。

これらより、売上高、利益ともに経営者年齢と負の相関があると考えられる。その背景について考察するために、経営者年齢別に企業の取組について、(株)東京商工リサーチが実施した「中小企業の財務・経営及び事業承継に関するアンケート(注)」を基に確認していく。
(注)詳細は第2部第1章第1節第3項を参照。

第2-3-12図は経営者年齢別に2017年から2019年の間の新事業分野への進出の状況について確認したものである。

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これを見ると、経営者年齢が若い企業ほど、新事業分野進出に取り組んだ企業の割合が高いことが分かる。

第2-3-13図は経営者年齢別に同期間の設備投資(維持・更新除く)の実施状況を見たものである。

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これを見ると、おおむね経営者年齢が若い企業ほど、設備投資を実施した企業の割合が高いことが分かる。

第2-3-14図は経営者年齢別に試行錯誤(トライアンドエラー)を許容する組織風土の有無を見たものである。

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これを見ると、経営者年齢が若い企業ほど、試行錯誤(トライアンドエラー)を許容する組織風土があるとする企業の割合が高い傾向にあることが分かる。

ここまで見てきたとおり、経営者年齢が若い企業ほど新たな取組に果敢にチャレンジする企業が多い様子が見て取れる。過去の中小企業白書(注)においても、経営者年齢が若い企業ほど、長期的な視野に立って経営を行って事業を拡大しようとする意向が強くなる可能性を指摘しており、こうした取組や組織風土が売上高や利益などのパフォーマンス向上に影響している可能性が考えられる。
(注)例えば、2016年版中小企業白書 第2部第6章第2節など。

続いて、第2-3-15図は、経営者の事業承継・廃業の予定年齢について確認したものである。

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これを見ると、4割以上の経営者が65歳から75歳未満の間に事業承継・廃業を予定していることが分かる。第2-3-9図で見たとおり、2020年時点で65歳から74歳の経営者の占める割合は高く、既に多くの経営者がこの予定年齢に達していると考えられる。このことからも、事業承継や廃業に関する準備が直近の経営課題となっている経営者も多いと推察され、必要性を認識しながらも未着手の経営者は外部の支援機関の活用も含めて、早期に準備を進める必要がある。
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経営者の高齢化が進んでいるのは、普段仕事をする中でも感じます。
しかし、会社の成長と、経営者の年齢が逆相関にあるという結果が、こうも見事に傾向として現れるとは思いませんでした。
例外はたくさんあると思いますが、全体を平均するとそういう結果になるんですね。

高齢の経営者が、自分は例外だ、会社を成長させることができる、と思い込んで事業承継を後回しにしていることも多いのではないでしょうか。
自分自身が「ゆでガエル」や「裸の王様」になっていることに気づかない。
非常に恐ろしいです。

自分の仕事は、仕組みづくり、社員や後継者の育成である、と考えなければなりません。

以前、仕事は「バトンリレー」だと書きましたが、社員のバトンを奪い取って自分で走るのは経営者の仕事ではありません。
グラウンドを整備したり、どんな試合に出るのかを考えたり、トレーニングプランを考えて、補給をしたり、応援をしたり。

私も55歳。
残された時間はわずか、と考えなければなりません。

最後までお読みいただきありがとうございました! 伍魚福の商品を見つけたら、是非手にとってみて下さい。社長のいうとおりになってないやないかーとか、使いづらいわー、とか率直なコメントをいただけるとうれしいです。 https://twitter.com/yamanaka_kan