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我が国におけるデジタル化の動向・IT投資と労働生産性の関係(中小企業白書2021年度版より)

本日は、「第2部 危機を乗り越える力」「第2章 事業継続力と競争力を高めるデジタル化」の続きです。
「第1節 我が国におけるデジタル化の動向」より、今回は「IT投資と労働生産性の関係」について紹介します。
以下、「中小企業白書2021年度版」から引用します(以下特記なければ、画面キャプチャ含めて同じ)。
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2.IT投資と労働生産性の関係
ITツールは、人々の生活のみならず、企業経営の生産性を向上させる身近な手段にもなっている。日進月歩の勢いでITツールの技術革新が進んでいく中で、企業を取り巻く環境も大きく変化していくことが想定される(第2-2-6図)。

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第1-1-25図(再掲)は、企業規模別にソフトウェア投資比率(注)の推移を示したものである。
(注)ソフトウェア投資とは、コンピュータ・ソフトウェアに対する投資額のうち、無形固定資産に計上されているものを指している。

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情報通信技術の進展もあり、大企業は2010年以降上昇傾向で推移しているが、中小企業は低下から横ばいで推移していることが分かる。

第2-2-7図は、売上高IT投資比率(注1)と労働生産性(注2)の伸び率を示したものである。
(注1)売上高IT投資比率=ソフトウェア投資額(2014年度から2018年度までの合算値)÷売上高(2014年度から2018年度までの合算値)。
(注2)労働生産性=付加価値額合計(※)÷従業者合計。
※付加価値額=営業利益+給与総額+減価償却費+福利厚生費+動産・不動産賃借料+租税公課

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これを見ると、両者の間で明瞭な因果関係を確認することができないといえる。大規模な投資の場合には、導入期間が長期化し、従業員が習熟して新システムに移行することによる効果が現れるまでに時間がかかる可能性などといった要因が想定される。また、小規模なIT投資の場合には、導入期間が短く、影響する範囲も比較的小さいため、導入効果が短期間で顕在化する可能性も想定される。

宮川努・滝澤美帆・宮川大介(2020)では、ITツールの利活用が労働生産性と明瞭な関係を持たない背景には、デジタル化に対応するために必要のある取組が必ずしもIT投資と連動しておらず、表面的な改革にとどまっているという問題の可能性を指摘している。また、エリック・ブリニョルフソンら(2004)は、IT投資へのデータを基に理論モデルを作り、ITツールの活用における初期段階では、新技術に即した「組織改革」など無形資産への投資を行うことが重要であると提唱し、無形資産への投資を無視して全要素生産
性(TFP)を計測すると誤った結果を導いてしまうことを指摘している。
これらの先行研究を踏まえると、我が国の中小企業において、デジタル化を通じた労働生産性の向上に向けては、表面的なIT投資だけでなく、デジタル化の取組が組織内に浸透していくよう組織的に取り組んでいくことの重要性が示唆される。
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一般的には、IT投資をすることで、労働生産性が高まるだろうと考えがちですが、調査結果をみると、連動していないという興味深い結果となっています。
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また、OSのバージョンアップに伴って、処理する業務内容は変わらないのに、IT投資が必要になったりもします。
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