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社会的危機と社会保障・リーマンショック時との比較⑤(令和3年版 厚生労働白書より)

本日は、「第1部 新型コロナウイルス感染症と社会保障」の「第2章 社会的危機と社会保障」、「第1節 リーマンショック時との比較」より「5 支援策による効果」を紹介します。
以下、「令和3年版 厚生労働白書」から引用します(以下特記なければ、画面キャプチャ含めて同じ)。
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第1節 リーマンショック時との比較
5 支援策による効果

様々な支援策の実績や内容について、リーマンショック時と新型コロナ感染拡大時の比較を行いながら見てきたが、以下では、これらの支援策によって人々の生活にどのような影響があったのか、その効果について経済指標の比較を通して考えたい。
(1)失業、休業
(雇用調整助成金の手厚い特例措置により、失業に至らず、休業に留まることが多かった)
完全失業率は、リーマンショック時には、約1年で1.5ポイント程度急上昇し、2009(平成21)年7月には5.5%に達した。一方、今回の新型コロナ感染拡大時は、上昇幅は1ポイント未満と比較的緩やかな上昇にとどまっている(図表2-1-5-1)。

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また、休業者数は、リーマンショック時には微増であったが、新型コロナ感染拡大時には、2020(令和2)年4月に急増し、翌月以降減少傾向にあったものの、2021(令和3)年1月からの緊急事態宣言下において*8増加幅が拡大している(図表2-1-5-2)。
*8 2021年1月7日から3月21日までの緊急事態宣言は、2020年4月からの緊急事態宣言と異なり、対象地域や制限内容が限定的であったため、休業者数の増加幅が抑えられたことが考えられる。また、2021年3月の労働力調査の結果は、労働力調査を実施するのは調査月の月末一週間であることから、2021年3月の労働力調査の結果は緊急事態宣言解除後の値であることに加え、2020年3月に休業者数の増加が見られたことによる反動の影響もあることに留意が必要。

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この推移を見る限り、リーマンショック時と比べて、今回は従業員を解雇し失業させるよりも、休業に留まらせる動きが強く見られたといえよう。
この背景には、元々、今回の新型コロナ感染拡大前の段階で労働市場が人手不足の状態にあり、事業主が雇用維持を志向する傾向が見られたこと、さらに雇用維持を支援する雇用調整助成金について、4(1)で述べたとおり、手厚い特例措置が講じられたという事情があると考えられる。
(2)賃金、所得
(これまでのところ、賃金は低下したものの各種給付金等がその低下を補ったこともあり、所得には大きく影響していない)

賃金について現金給与総額で見ると、リーマンショック時も、新型コロナ感染拡大時も、危機発生後、対前年同月比でマイナスが続いている。マイナスの最大幅で見ると、リーマンショック時は危機発生から9ヶ月後の2009(平成21)年6月に▲7.2%、新型コロナ感染拡大時は国内で感染者が確認されてから11ヶ月後の2020(令和2)年12月に▲3.0%となっており、現時点で見る限り、落ち込みはリーマンショック時の方が大きい(図表2-1-5-3)。

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賃金も含めた家計所得について見ると、リーマンショック時には、2009年の大半の月で対前年同月比の名目増減率がマイナスであったが、今回の新型コロナ感染拡大時には、2020年の大半の月でプラスとなっている。特に5月から7月にかけては特別収入の増加により一時的に急増している(図表2-1-5-4)*9。
*9 家計調査の実収入は、経常収入(勤め先収入、事業・内職収入、農林漁業収入(2020年1月より、事業・内職収入の中の、他の事業収入に統合)、他の経常収入(財産収入、社会保障給付、仕送り金))と特別収入(受贈金など)からなり、特別定額給付金は特別収入に含まれる。また、勤め先収入は世帯主の収入のみならず、世帯主の配偶者や他の世帯員の収入も含まれる。このため、実収入は勤め先収入以外の収入の影響を受けるとともに、世帯主の勤労収入だけでなく世帯主以外の者の勤労収入の影響も受けることに留意が必要である。

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こうしたマクロの指標を見る限り、今回の新型コロナ感染拡大時においては、労働者一人当たりの賃金は低下したものの、特別収入も含めた所得で見た場合には、リーマンショック時ほどの影響ではないといえよう。
その背景には、今回の新型コロナ感染拡大時の対応として、各種給付金等の経済的支援が大規模に実施されたといった事情があると考えられる。
一方、こうした経済的支援によって家計所得を支えるといっても限界があり、本来的には賃金の回復を図ることが重要である。経済・雇用情勢の改善に向け、様々な対策を講じることを通じて、賃金の低下に歯止めをかけ、上昇基調につなげていくことが望まれる。
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支援策の効果についてのリーマンショック時との比較です。
・完全失業率
 リーマン時:起点時4.0%、ピーク時5.5%
 コロナ時 :起点時2.4%、ピーク時3.1%
全体的な人手不足や、雇用調整助成金の活用拡大もあり、「休業」にとどまったようです。

・現金給与総額
 リーマン時:起点時前年同月比 -0.5%、ピーク時前年同月比 -7.2%
 コロナ時 :起点時前年同月比 1.2%、ピーク時前年同月比 -3.0%
いろいろな救済策の成果か、現金給与の総額の落ち込みはリーマンショック時よりも小さいです。

かなり多額の国費をつぎ込んでの対策がなんとか下支えにつながったと言えそうです。今後それをどう取り戻していくか。
日本全体の成長につなげて、次世代に負担がかからないようにしたいです。

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