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中小企業におけるデジタル化に向けた現状・感染症流行前後のデジタル化に向けた取組の変化(中小企業白書2021年度版より)

本日は、「第2部 危機を乗り越える力」「第2章 事業継続力と競争力を高めるデジタル化」の続きです。
「第2節 中小企業におけるデジタル化に向けた現状」より、今回は「感染症流行前後のデジタル化に向けた取組の変化」について紹介します。
以下、「中小企業白書2021年度版」から引用します(以下特記なければ、画面キャプチャ含めて同じ)。
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第2節 中小企業におけるデジタル化に向けた現状
本節では、感染症流行に伴うデジタル化の取組の変化を明らかにするとともに、それぞれのITツール・システムの導入状況やIT人材、情報セキュリティ対策の現状などを確認する。
1.感染症流行前後のデジタル化に向けた取組の変化
本項では、感染症流行前後におけるデジタル化に向けた取組の変化について見ていく。
第2-2-8図は、業種別に感染症流行に伴いデジタル化の取組において最も重要度が上がった項目を示したものである。

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これを見ると、全産業では「経営判断や業務プロセスの効率化・固定費の削減」を挙げる割合が約半数を占めており、「建設業」、「運輸業,郵便業」において多い傾向にあることが分かる。
BtoCが主体である「宿泊業,飲食サービス業」や「生活関連サービス業,娯楽業」では、「新たな事業や製品、サービスの創出と改善」の割合が最も多く、「製造業」では、「サプライチェーンの最適化・生産プロセスの改善」、「学術研究,専門・技術サービス業」では、「情報セキュリティ対策
の強化・法規制のクリア」を挙げる企業も一定数存在している。

第2-2-9図は、IT 投資への予算が増える要因を日米比較したものである。

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これを見ると、米国企業は市場や顧客などの外部環境の変化を把握するために IT投資の予算を投じている傾向にあるのに対して、日本企業は IT投資の予算の大半が働き方改革の取組や社内の業務効率化に振り分けられている傾向にあることが分かる。

第2-2-10図は、取引先属性別に感染症流行前後で取り組んだITツール・システムを活用した働き方改革の取組を示したものである。これを見ると、感染症流行後において、「Web会議」を挙げる割合が最も高いことが分かる。「Web会議」は、BtoB(45.4%pt増)、BtoC(41.7%pt増)いずれも増加しており、感染症流行を受けて急速に取組が広まっている。
「テレワーク、リモート勤務」もBtoB(34.8%pt増)、BtoC(23.6%pt増)いずれも増加しており、柔軟な勤務形態の整備に向けた変化が見られる(注)。
(注)なお、テレワークなど柔軟な働き方の環境の整備には、適切な労務管理の実施と一体で取り組んでいくことが重要となる。適切な労務管理の実施に向けては、厚生労働省「テレワーク総合ポータルサイト(https://telework.mhlw.go.jp/)」や「テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン(https://www.mhlw.go.jp/content/11911500/000683359.pdf)」などを参照されたい。

他方で、「文書の電子化」や「社内の電子決裁」は、取組が進んでいないことが分かる。
感染症流行を契機に、「テレワーク、リモート勤務」の環境整備が進んでいるものの、「文書の電子化」や「社内の電子決裁」などは進んでおらず、テレワークなどの更なる推進に向けては、様々な課題が散見されると考えられる。

第2-2-11図は、取引先属性別に感染症流行前後で取り組んだITツール・システムを活用した販売促進活動を示したものである。

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これを見ると、感染症流行後、BtoBでは「オンラインでの商談・営業」、BtoCでは「自社HPの活用」に取り組む企業が4割以上を占めていることが分かる。特に、感染症流行前後で「オンラインでの商談・営業」は、BtoC(24.8%pt増)においても増加しており、感染症流行の影響を受け、対面を減らそうとしているなど、販売促進活動における取組の変化がうかがえる。

以上、本項では感染症流行を契機として重要度の上がったデジタル化の取組について確認してきた。
感染症流行を機に、業務効率化目的のデジタル化に力を入れていること、働き方改革・販売促進活動の取組に変化があったことが分かった。事例2-2-1では、清酒製造業において、感染症流行を機にSNSを活用したデジタルマーケティングに一層力を入れ顧客獲得に取り組んだ事例、事例2-2-2では、自社サイトのリニューアルなどを通じて、感染症流行下における巣籠もり需要を獲得した取組を紹介する。
また、事例2-2-3のように、感染症流行前からテレワークを導入し、テレワークの定着化により、働きやすい職場づくりと優秀な人材の確保につなげている企業も存在しており、感染症流行を受けてコラム2-2-3のようなオンライン研修にも関心が高まっていることも紹介する。
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コロナ禍で中小企業のデジタル化への取り組みがどう変化したかの分析です。
業種によって、注力する分野は異なります。宿泊業や飲食業では、サービス自体の変革を余儀なくされました。
製造業にとっては、サプライチェーンの最適化・生産プロセスの改善が重要視されています。

IT投資の増える要因の日米比較がとても興味深いです。
特にアメリカでは「ITによる顧客行動/市場の分析強化」という外向きの要因が最も重視されているのに対して、日本では「働き方改革の実践のため」という内向きの要因が重視されています。
この辺も、日米の成長、生産性の差の理由になっているように感じます。

コロナ後のITツールの活用に関しては、オンライン商談やウェブサイトの活用など、だいたい想定通りという感じがします。

ITを活用して「顧客本位」をどう強化するか。
中期経営計画の中で検討を進めたいと思います。

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