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和田毅人的補償騒動からFA補償について考える

 山川穂高のFA移籍に伴うFA補償(人的補償)が和田毅と報道されたが、一転甲斐野が人的補償として移籍したことから始まった今回の騒動を受けて、FA補償について1ファンの目線から考えてみたことを書いていく。

1.今回の騒動では誰が悪いのだろうか

 様々な報道から西武側が当初和田を指名しようとしていたことは確実だと思われる。その報道の反響を受けた結果かどうか定かでないが、西武とソフトバンクの交渉(裏取引)の結果甲斐野が人的補償として移籍することで決着した。

 数年前の大野奨太の人的補償として岩瀬が指名されたが岩瀬が引退を示唆したことで金銭補償に切り替わった、所謂岩瀬式プロテクトの再来かと思われたが今回は岩瀬式プロテクトよりも複雑そうである。移籍を拒否したのが和田本人であるのか、球団であるのかわからない点、甲斐野が元々プロテクト内であるのかプロテクト外であるのかわからない点などである。プロテクトリストをNPBを通していないことなど制度の問題もありそうだが、和田をプロテクトから外したにも関わらず指名されるとゴネたソフトバンクフロントが1番責任が大きいのは明らかである。だがしかし、もし甲斐野がプロテクト内であった場合、プロテクト内の選手を貰うことで有耶無耶にした西武側にも責任が全く無いとはいえなさそうである。

2.そもそも人的補償や金銭補償は必要なのか

 今回の騒動を受け、選手会が人的補償廃止を訴えている。今回は人的補償の問題というよりはFA補償制度そのものと該当2球団の問題であるので、今回の騒動を受けて人的補償廃止を訴えるのは間違っている気がするが、人的補償不要論は前から言われてきたことでもある。人的補償はFA流出した球団への補償という側面はもちろん、FAで選手が加入した球団で、新たに選手が加入したことにより飼い殺し状態になることを防ぐような側面もあると思う。だが現役ドラフトの導入とそれに伴うトレードの活性化により以前より飼い殺しが起こりにくくなっているように感じる。また、自分自身が金を使う球団が強くなるのが当たり前だと考えているのでFA補償はなくても良いのでは、とも考えている。

3.人的補償の代替案を考えてみる

 人的補償不要論は多く言われているが有力な代替案はまだ見つかっていない、というのが現状であると認識している。一部ではドラフト1位や2位の譲渡や戦力均衡ラウンドのような形で1位と2位の間で追加で指名できる、といったようなものも挙げられているが譲渡ではウェーバー順による左右が大きいことやそもそも1位や2位では失う側の不利益が大きすぎること、1位と2位の間や2位と3位の間で追加指名できる案でも、FAに絡んでいない球団の指名順の後退することになることなどが問題として挙げられる。

 これらを踏まえて私が考えたFA補償の代替案は

Aランク→育成ドラフト1位の指名権譲渡
Bランク→育成ドラフト2位の指名権譲渡

譲渡された指名権は他球団との金銭トレード可能

である。近年、ほほ全ての球団が育成ドラフトに参加するようになり、ソフトバンクの千賀や甲斐を初め代表クラスの選手も育成ドラフトから誕生している。だが博打的な側面もあり支配下に上がることなくNPBを去る選手も少なく無い。(支配下)ドラフトでの補償では上で述べたような問題もあり、またドラフト5位や6位の指名権を譲渡してもあまり興行的な面白さもないように感じる。だが育成ドラフトでは一般に戦力的な影響は(支配下)ドラフトに比べて小さい一方、巧みなスカウティングや育成によっては代表クラスの選手になる可能性もある。また、この指名権を他球団に金銭トレード可能にすることで金銭補償を望むスモールマーケット球団への救済措置となる上、最も高い額を提示した球団に指名権を売却すればいいため従来の金銭補償より多くの額を手に入れることができるかもしれない。このような考えからこの案を提示する。

4.最後に

岩瀬式プロテクトの件から人的補償の問題は指摘されていたにも関わらず放置しまたこのような騒動が起きることになってしまった。NPBには早急に何かしら制度の改善などを施して欲しい。

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