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企業認定の"活用"による組織の体質改善

こんにちは、株式会社フォーバル山本裕介と申します。中小企業(15名~200名くらい)を専門に生産性UP(売上拡大)のサポートをしています。

昨今、企業を取り巻く環境が目まぐるしく変わっており、これからも大きく変わっていくことが予測されますね。でも、そんな中で対応しなければならないことは分かるけど、現実的には難しい・・・と感じている経営者は多いのではないでしょうか。実感としては多いですね、訪問した先で良く言われることがあります。

『人手が足りないから』
『目先の売上が必要だから』
『大手ほど投資できるお金がない』


おかれている状況によってさまざまだと思いますが、大体こんなイメージのことをおっしゃられることが多いですね。

私も同じように感じますよ。大手と比べたらそれはもう、中々難しいかもしれません。

が!冷静に考えてみましょう。変革を起こすときに中小と大手、どちらが難しいと思いますか???大手の方がハードルが高くないですか?新しいルールにするにもどれだけの人のことを考えて制度設計をしなければならないのか・・・・PC1台入れ替えるのだって大手だと一体いくらお金がかかるのでしょうか。。。

人事制度(何かしらの新制度)を作るのだってとあるコンサル会社に委託すれば1プロジェクトで1000万以上かかるものもあるそうですよ。

ということで結論としては中小企業の方が本来は変革のハードルは低いのではないかと思っています!しかし、実際には大口の仕事による制約があったりスキルの高い社員ほど変化を嫌がったり、社長の頭を悩ませるタネが意外なところにあることも知っています。(知っているつもりです)

だからと言って、ずっと変化しないままでいたら企業は必ず『衰退』していきます。企業は変化対応業だと言われているほどですから、どんな企業でも変化しており、誰もが知っている老舗企業だって気づかないところでも変化しているのです。

あの京都土産で定番の八つ橋だって『チョコレート』や『抹茶』なんて今は当たり前になっていますが、100年前に想像ついたでしょうか?時代にあわせて変化できる企業が愛され続け、そして生き残るのです。今文句言っている人は30年後はそこで働いていないかもしれませんが、企業は30年後も100年後も存続し続けることが目的ですよね?(そうだと思わない方もいると思いますが私はこういう考え方です)

そう思えるならば、少しは未来のことも考えていいかな?と感じませんか。ここに書くことが、明るい未来に向けた中小企業の変革の小さなきっかけにでもになればとてもうれしいです。

ということで、今回は中小企業こそがやっておくべき『企業認定を"活用"した組織の体質改善』について説明したいと思います。

1.企業認定とは何か

まずは企業認定が何なのかを簡単に紹介したいと思います。言葉の通り、企業が認定されることなのですが、認定する側はどんな人なの?というところについては様々ありますね。

行政や省庁、県などの地方自治体、関連団体、民間の団体や企業など本当に幅広く『認定』というものをしているようです。

有名なものだとこんなものがあります

■1度は聞いたことありそうなもの(※特に意図なく選んでます)
プライバシーマーク(Pマーク)
モンドセレクション
ホワイト企業大賞
グッドデザイン賞
日本でいちばん大切にしたい会社大賞

他にもたくさんあると思いますが、こういう賞や認定を持っていると言われると何となく『へえ~すごいなあ』と思うのではないでしょうか?身近なところだと『このお店食べログで4.5なんですよ~』なんて言われるだけでも何となく美味しそうに聞こえたり笑(実際に美味しいと思います)

ということで、『企業認定』とは何かと言うと、『第三者がある基準で判断し、評価をされた』ということなので、消費者や法人の顧客から見ると『期待や信頼』を感じる一つの要素になるということです。もちろん、入り口が良くても後が悪ければ信頼は簡単に失墜してしまいますが。

2.企業認定がなぜお勧めなのか

大企業のように誰もが名前を知っているケースを除けば、企業はこのような認定や認証を取得していくことで未来のお客様の期待や信頼を得やすくなっていくことに繋がります。いわゆる自社調べで『ウチはすごいんです!』というよりも、第三者が『この企業は素晴らしいですよ!』と認めてくれる方が、お客様からしたら信頼できますよね。

お客様(消費者)がサービス提供者に対して安心感・信頼感を感じるには3つの要素が必要と言われているそうです。

■安心感・信頼感に必要なポイント
❶正しい知識
❷正しい技術
❸豊富な実績(経験)

読んだら当たり前のことかもしれませんが、実際にそうではないでしょうか?例えば、正しい知識=資格を持っている、ということに置き換えられます。ケガをして手術をしてもらうときに、無免許の人ではなく、医師免許のある医者に担当してもらいたいですよね。

次に正しい技術については何で測ることができるでしょうか・・・資格に紐づく部分はあるかもしれませんが、日々のトレーニングは当たり前ですが、『1人前になるまでに厳しいカリキュラムを受けて卒業した』などがあげられるかもしれません。

3つめの豊富な実績、これについては失敗談よりも成功例の方が良いですね。特に医者の場合はドクターXのように『失敗しない』方が良いですね。
経営コンサルタントだと失敗例も聞きたいと言われることがありますが、成功ばかりしているコンサルタントの方が実際には良いと思います。失敗してもそこから正しく分析して成功に挽回できていれば途中経過としての失敗談は言えると思いますが。

職人(医師・製造・その他)などの個人であれば、これからの方は❶から順に取得していくことが良いと思いますが、今回は企業を題材にしているところがミソです。企業認定というものは多くの場合❶~❸を評価して『この企業は素晴らしいですよ!』と認定してくれるものです。先に挙げたモンドセレクションなんかは商品に対してかもしれませんが、多くの認定は全てを網羅したものが多いです。

新規営業の際は自己紹介の時に紹介することで『この会社、なんだか信頼できそうだな』と思っていただけたり、既存のお客様であれば認定を取れたことを報告すれば『いい会社になりましたね!』みたいに応援してもらえることがあったり、そして説明している社員は自社に自信を持てるきっかけになったり、とてもいいきっかけになるのが企業認定なのです。

3.企業認定の"活用"とは何か

企業活動は全て『存続』に繋がることが条件だと思っています。ということは何かしらの効果・成果が無ければやる意味はありませんね。企業認定についてもメリットは十分にあります。前項でも挙げましたが、『お客様からの信頼・期待』・『地域からの信頼・期待』が大きなものですが、もう一つ素晴らしい効果があるものとして、『社員満足(または安心感)』を推したいと思います。

そうです、ここで”活用”と表現しているのは、企業活動において効果・成果が出るように企業認定を使うべきだという考えが根底にあるからなのです。お金がかかることやかからない事、いろいろあるのですが、認定を受けるということはそれなりに時間も労力もかかるのです。自己満足のためだけにやるのならオススメはいたしません。

会社の事業計画達成に必要な手段として企業認定にチャレンジしましょう。

4.採用・営業シーンで活かされた事例

先ほど述べた企業認定のメリットの内、前者の2つ(お客様・地域からの信頼・期待)については既述しております通り、『この会社、信頼できそうだな』『こことお付き合いしていてよかった』『この町の自慢の会社だ』などの反応が期待できます。きっと、外から見たときの評価が高くなるので営業面だけでなく、採用の時にも一つの優位性としてとらえられることができるでしょう!

ある製造業と設備工事業(2社)のお客様先でもこんなエピソードがあったそうです

■製造業A社の例(新卒入社)
新卒入社の女性社員がいるのですが、実は媒体を通してではなく自ら調べつくしてその製造業A社に入社したいと直談判してきたそうです。話をよく聞いてみると、その社員はモノづくりを通して社会貢献したい!という思いがあり、社会課題を解決しているデザインを評価している”グッドデザイン賞”を受賞した作品を作っている企業を調べ、A社に決めた、というのです。

入社3年目のようですが、今でも気持ちは変わらず、むしろさらに熱い思いを持ちながら会社を引っ張る存在にまで成長しているそうです。
■設備工事業C社の例(他社との価格勝負の場面)
入札案件の受注においてはどうしても価格勝負になってしまうケースが多いそうですが、C社(設備工事関連)の営業担当者が他社との競合になった際に先方の発注担当企業がこのような話をされたそうです。

取引先『御社はおもてなし規格認証を取得されているそうですね。当社は会社の方針としてお客様満足を強化に取組をしています。御社が工事会社でありながらそのような取り組みをされている企業がることを知りませんでした。
価格は多少御社の方が高いかもしれませんが、これからは御社とお付き合いをしたいと思います。』

営業担当者がしっかりとアピールしたことが相手に伝わったのです。たまたま取引先がお客様満足に注力していたということもありますが、営業現場では十分に差別化として使えるのだと思います!

この2つの事例のように、『差別化』という点でうまく活用ができるイメージが持てますね。ただし、採用においても営業においてもしっかりとその事実を伝えることが前提だと思います。前者の例だと、たまたま自分でグッドデザイン賞のサイトを調べて来てくれていますが、対外的に認知される活動をしていたならばもっと多くの同じ志を持った人と出会えていたかもしれません。アピールする力は中小企業の課題かもしれませんね。

さて、企業認定の活用による効果として3つ目に挙げた『社員満足』についていよいよ触れたいと思います。

5.社員満足(安心感)につながる企業認定の活用法

タイトルにある『体質の改善』はこの社員満足の為にあると言ってもいいと思います。ここについては、説明のしやすさから1社の事例に絞って紹介したいと思います。ある製造業D社(30名くらい)のお話です。神奈川県では優良工場表彰という制度があり、経営成績、作業環境、生産技術などが特に優れており、労働災害や公害の発生防止、労働時間の短縮、環境関連手続の遵守などに取り組んでいる工場を、神奈川県優良工場として表彰してます。
※下記画像は神奈川県のサイトのキャプチャです

キャプチャ

この表彰自体、毎年10~15社くらいが表彰されているようですが、『頑張っています!』に対してではなく『実績』に対する評価の表彰なんですね。ということは、完全に第三者認証ですね。

このようなものにもなると、経営者が『よし、いっちょ申請するか!』と思っても実はハードルが高く、市長及び商工会議所会頭の推薦が必要だったりするのです。

ちなみに、D社は過去に別の企業認定(神奈川がんばる企業)にチャレンジして認定をもらえていた関係で商工会議所や県担当者との接点があったことも、今回の表彰にチャレンジするにあたり良かったことかもしれません。
※下に掲載画像を参照ください

推薦

話は戻りますが、なぜ『社員満足(安心感)』につながるかと言うとまずは審査項目をご覧ください⇓

審査項目

数字面は当たり前ですが、労働災害・労働時間の短縮、不当労働の・・・などの記載を見ての通り、いわゆる社員から見た環境改善が必須なんですね。具体的には、担当者を立てたうえで『安全衛生管理者講習』を受けに行くことや、労基署に36協定を提出したり(変形労働制なども)、作業環境の改善が必要だったり・・・

この表彰にチャレンジするということは上記のことが審査までに改善されていなければならないわけです。記載していない部分も含め、D社では『いつかはやらなければならなかったけど、大変だけど今回ぜんぶやります!』ということで経営者が決断され、一気に社員も巻き込んで社内体制が整っていったのです。

結果として、これまでの経営成績は良かったのですが社内体制までかなり整ったことにより、さらには決算賞与も出すようになり(評価には関係なかったですが)、社員からは『今の社長になってから会社がどんどん良くなっています!頑張ります!』の声が増え、特に若手社員は元気に繁忙期を乗り越えられそうだとか・・・

ちなみに、この神奈川県優良工場表彰は2020年1月に表彰式があったのですが、1人の社員を連れて行ったそうです。そしてその社員の方は『自分の会社が表彰されるのはうれしい』と言ったそうです。

福利厚生なども面からも企業認定にチャレンジすると良くなっていくため、社員に実感を持たせることができるのがメリットと言えますね。反対に、認定されるけど社員に実感が持てないものはあまり意味は出ないのかもしれません。

6.こんな企業認定があります

最後に、こんなのがありますよ!というものを少し挙げておきます。
※他にもたくさんありますので検索してみてください!

■企業認定やそれに類するもの(社員満足につながるもの優先)
健康企業宣言 ☜各都道府県の健保連にて
健康経営優良法人 ☜宣言の上位互換と思ってください
TOKYO働き方改革宣言
・広島県働き方改革実践企業
・北海道働き方改革推進企業
ユースエール
くるみん
ホワイト企業大賞
日本でいちばん大切にしたい会社大賞

ここに挙げた以外にもたくさんありますが、まずはできる事から着実に進めていかれることをお勧めします。興味のある方は現状をお話しいただければどんなところからスタートしたらいいかアドバイスくらいはできるかなと思います。

少々長くなりましたが、お読みいただきありがとうございました。

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