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(3)救護施設と作業

我々も施設にいる以上、ルールに従って日常生活を送る。
ただ全員無職なので、ちょっとでも自立につなげられるよう作業の時間がある。

これも人権に配慮した結果、強制ではない。
別にその時間寝ていてもいいし、テレビ見てだらだらしていていい。
だけど遊びに出かけたりとかやめようなっていう決まり。

最初みんなどこか心の中で「だりいな」って思うけど、ひたすらに寝ていても飽きてくるので何だかんだ出るようになる。
まぁ出ない人は絶対に出ないけど。

ちなみに作業をするとお金がもらえる。

2時間作業すると100円。まさかの時給50円。

「昭和初期の話かな?」って思うけど令和になった現在のレートで100円。
冷静に考えてとんでもない値段設定である。

ただ実際やってみると「確かに100円だわ」と言った内容であることが多い。
障がい等、何かしらの問題を抱えた人ができる仕事っていうのは結構限られている。

僕も一番最初に作業した時に、職員の人から「この箱にマスクの束が入っているんですけど、それを3枚づつ取って隣の人に渡すことってできますか?」ともの凄い顔色伺いながら聞かれた。

正直言って「なめんな」って思った。

けど口には出せないので「余裕です」って言ったら「じゃあ別の作業でそのマスクを袋に入れてみましょう。3枚に分けるのは他の人にやってもらいます」ということになり、流れ作業の一員としてやることになった。
で、隣の人が3枚マスクを渡してくる。俺はそれを袋に入れる。

たまに隣の人がマスク2枚を放り投げてくるので「足りないです」って伝えると、すんげえ不機嫌そうにもう1枚渡してくれる。

そんな作業なので金額的には確かにこんなもんかなと思った。
人とのつながりをやめて施設で引きこもる人も多いので、それを防ぐための策みたいな側面が強いのかなと思っている。

ただ作業と言いながら施設職員か業者がやる仕事だろというのもドサクサで入ってくる。
真夏の草刈りとか電気交換とかはお前らがやれ。

施設の人もそれに関しては引け目があるのか、普段100円の作業代をそういったときは120円にしてくれる。

こうやって自立に向けた作業をやって毎日過ごしている。

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