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備後落合駅の看板復活

芸備線と木次線の備後落合駅は、広島県の山奥にあります。
その昔は山陰と山陽を結ぶ交通の要衝として
多くの人や物資、列車が行き交い栄えました。
今は静かなローカル線の駅で、秘境駅として知られます。

左が芸備線の広島方面、右が岡山方面から来ます

この駅でボランティアガイドをしておられる永橋さんは、地元で生まれ育った元国鉄機関士です。乗換の案内や駅の歴史を、訪れた人々に語ってくれます。

右が永橋さん

その永橋さんが、国鉄時代にこの駅で使われていた駅名看板を友人から譲り受け、訪れる人々へのおもてなしとして駅舎入り口の柱に
JRの許可を得て掲示しておられました。

右側の柱につけられた「びんごおちあい」の看板です

ところが、今年の1月にその看板が無くなっていることに気づきました。
貴重なものなので、盗難の可能性が考えられました。
永橋さんも、私を含む備後落合駅のファン、鉄道ファン、地元の人々は
非常に落胆しました。もしも持って行った人がいるなら、
そっと返してほしい。永橋さんはそう仰っていました。

そんな永橋さんを元気づけたいと、岡山県の玉野市電保存会という団体の方々が
その昔の看板を復元して寄贈されました。
5月10日、看板の取付工事が行われました。

私は少しでも早く見たい、
そして玉野市電保存会さんにお目にかかって御礼を言いたいと
広島市を早朝に出発し、高速バス・路線バス・コミュニティバスを乗り継いで
駅に行きました。鉄道では本数が少なくて、工事が行われる昼までに行くことが
できなかったからです。バスも本数が少ない上に
連絡時間がカツカツなのでスリル満点でした…。

玉野市電保存会さんは準備周到、JRの方の立ち会いのもと、
しっかりと取り付けが行われ
「びんごおちあい」の看板が入口に甦りました。
永橋さんも喜ばれ、地元の方々もほっとされ、私もとてもうれしかったです。

玉野市電保存会さんらが取り付け
左が永橋さん、右が玉野市電保存会の垣内会長
立ち会ってくださったJRの方も交えて記念撮影

皆さんが帰られ、帰りの列車が来るまでの時間
大好きな駅の待合室で、展示の写真を眺めながら
緑の木々を飛び回る小鳥のさえずりを聞きながら
カップラーメンを食べました。
カップラーメンがあんなに美味しかったことはありません。

手編みの座布団、沢山の写真や説明パネル—地元の方々のおもてなしの心があふれる待合室

列車がやって来ました。この午後2時台だけは
芸備線の広島方面と岡山方面、島根へと向かう木次線の
3方向からの列車が一堂に会し、駅はにぎわいます。
列車から降りてきた人たちが代わる代わるに
駅名看板の写真を撮っておられました。
帰りの列車に乗り込みながら、
「もう乗り継ぎのバスに間に合うかハラハラしなくてもいいんだな」と、
往路のスリルを思い出しながら
列車ってなんてありがたいんだと心底ほっとしました。

列車は楽でありがたい…感謝


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