見出し画像

the sky

砂漠の夜はどこまでも青かった

頭上は何億もの星々の軌跡
丘には商人とラクダの影が浮かび上がる

時間の隙間にオアシスと草花が
現れては消えて 消えては現れて
瞬きするのも憚れていた

僅かに顔を撫でる風音も、
小さな狼の遠吠えも、
何処かで僕を呼ぶ人の声も、
分厚い永劫の静寂が踏みつけ掻き消していた

僕の右手はいつからか左足になり
目は鼻と眉毛と混ざって区別もない
内臓が次々と尻から流れ出て
悠久の大河の如く溢れ出た血液が
意識の断崖に流れ落ちていく


歴史の教科書を誦じて
夢想するに良いも悪いも、何もなかった





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?