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フィンランドのデジタルユースワーカーから学んだこと

はじめまして。「マガジン:デジタルユースワーク実践レポート With フィンランド」運営メンバーの@Yamamoto_Akkun です。

今回のレポート本文に入る前に、まずはこのマガジンの説明を簡単にしますね。このマガジンは@morizoo@kensei_nishideの3人で運営していきます。

この3人は2019年度内閣府地域課題対応人材育成事業「地域コアリーダープログラム」青少年分野代表団としてフィンランドの青少年に関わる行政機関・中間支援組織・学校現場・ユースワーク現場を訪問しました。フィンランド訪問では多くの衝撃と出逢ったのですが、特に大きな衝撃が「デジタルユースワーク」というものでした。

「デジタルユースワーク」に大きな可能性を感じ、「デジタルユースワーク」をもっと学び、実践知をつくっていこうと動きはじめました。みなさんと日本・アジアのデジタルユースワークをアップデートするために、学びと実践をマガジンに綴っていくことにしました。

フィンランドのデジタルユースワーカーから学ぶ会を実施しました。

先日、フィンランドのデジタルユースワーカー・アッスーからデジタルユースワークについて学ぶ機会を持ちました。アッスーはコアリーダープログラムで出会った友人です。今回のレポートはアッスーが教えてくれたデジタルユースワークについてレポートします。

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そもそも「ユースワーク」とは?

デジタルユースワークの「ユースワーク」とは何でしょうか。フィンランドの若者支援・若者政策について定めた法律「Youth Act 2017」によると「ユースワークとは、社会における若者の成長、自立、社会的包摂を支援する取組みを意味する」とされています。少し付け加えると「余暇時間における若者の主体的な参加(ボランタリー)に基づいた活動をサポートすることで、若者の成長、自立、社会的包摂を支援する」ことがユースワークです。

私自身もユースワーカー(文京区青少年プラザb-lab副館長/NPOカタリバ)として日々、若者と関わる仕事をしています。

デジタルユースワークとは?

デジタルユースワークは、デジタル技術を活用したユースワークであり、ユースワークにおけるデジタルメディアやテクノロジーの積極的な使用、または対処することを意味しています。なので、デジタルユースワークのゴールはユースワークと同様であり、ユースワークの別の方法や部門として扱うことは適切ではありません。デジタルユースワークはあらゆるユースワーク(オープンユースワークやユースクラブ、ユースインフォメーションなど)に組み込むことができるのです。

デジタルユースワークの目的

ユースワークを若者にとって魅力的なものにアップデートすること若者の技術向上(SNSの使い方からプログラミングなど)・21世紀型スキルの向上がデジタルユースワークの目的です。さらに、社会的困難を抱えた若者のための活動という側面もデジタルユースワークにはあります。こちらは、また別記事で紹介します。

デジタルユースワークの実践

デジタルユースワークの実践を紹介したこちらの動画を見ていただくと、漠然としていたデジタルユースワークの輪郭がはっきり見えてきます。

動画で紹介されているメイクアクティビティ(映画づくりや、電子工作)やオンラインユースセンター、ゲームユースワークに加え、SNSコミュニケーション、チャットツールなどがあります。またSNSの使い方レクチャーなど予防的な実践もあります。オンラインの活動では、アバター(オンラインとは別の”じぶん”)で参加することができます。

勉強会では、チャットツール「Discord」の使用画面を見せてもらいました。

Discord内にはゲーム(フォートナイトなど)コミュニティや好きな歌を共有するコミュニティ、おもしろい動画を共有するコミュニティなど様々なテーマのチャットコミュニティがあります。初めて利用する際には、年齢などの情報と何をしたいのかを書き込み、そこからコミュニケーションが始まります。若者は友人安全な大人を求めて利用します。

デジタルユースワークとしては16時〜22時までオープンしていて、24時間体制で見守るユースワーカーもいます。ユースワーカーはチャット上でのマナーを体現するロールモデルとして役割も担っています。

フィンランドにおけるデジタルユースワーク

フィンランドでは20年以上の歴史があり、ヨーロッパの中でもフィンランドはデジタルユースワーク先進国です。ただ、そんなフィンランドでもデジタルユースワークの担い手はまだまだ少ないのが現状です。デジタルユースワークは、デジタル技術の変化に常に適応しています。デジタル技術の変化はとても早く、多くのユースワーカーがキャッチアップできないのです。またそもそもデジタルプラットフォームを使っていないユースワーカーもいます。

デジタルユースワークのはじめ方

ユースワーカーのやりたいからスタートするのではなく、若者が何を求めているのか?若者のやりたいに寄り添うことが大切です。若者はユースワークの対象ではなく、ユースワーカーが対話的関係を通して支える能動的な主体なのです。

最後に

コロナ禍において、b-labは6月1日まで休館していました。対面で若者と会うことができなくなり急ピッチでデジタルユースワーク・オンラインユースセンター(主にZoomを使用)を構築、トライしてきました。その過程で、フィンランドのユースワーカーである友人・トニーからアドバイスをもらっていました。アドバイスの最後に彼からこんな言葉をもらいました。

最も大切なことは、これらのメディア・プラットフォームを毎日のユースワークの一環として使用し、若者とユースワーカーのコミュニケーションの一部として自然に定着させることだよ。

日本でも、コロナ禍だからこそ今がデジタルユースワークを定着させるチャンスであり、デジタルユースワークがユースワークをアップデートするチャンスです。だからこそ、若者の声に寄り添い、若者が望むデジタルユースワークを、若者と一緒に育てていきたいです。

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