春が嫌いな100の理由
春が嫌いだった。
春はあけぼのと誰かが言ったらしいが、僕に言わせてみれば春は鬱の塊でしかない。
意気揚々と開かれる扉、希望を胸に駆け出していく人々、出会いと別れ。
もういいよ、とうんざりする自分。閉じるなよ、と揶揄する声。
扉は閉じている状態こそ通常だと思う。開けっ放しだと叱られるのだから。
簡単に開けるなよ。簡単に開けてたまるか。
いつでもそうやって固く閉ざしてきた。春は開こうとする。
塊になって押し寄せて図々しく居座ろうとする。
そんな光は憂鬱だろう。
春が嫌いだった。