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中国の景気後退説と人出の話

中国の景気があまり良くないこと、それに伴い繁華街やショッピングモールから人影が消えている?というような話がよく聞かれます。TV報道やYoutube、SNSでの投稿など、興味深く拝見しています。もちろん、そのような投稿や記事は、正確な事実を反映しているものが大部分ですが、実情の分析となると、少し近視的なものが多いように思います。

私が中国で最初に体験した「危機的状況?」は、2003年のSARSのときでした。原因不明の病気が流行し、外国人が海外へ避難、極端な行動制限こそないものの、町中からは人が消え、人影のない古北や和平飯店の休業騒動などが、「上海はどうなる?」という不安を感じさせました。

次に体験したのが、2007年の「株式バブル崩壊」後の局地的過疎化でした。
2008年の北京オリンピックまでは上がり続ける、と言われていた上海の株価指数が、2006年後半に6000超から2000台までまさかの急降下をしたことで
2007年に景気の冷え込みがありました。但し、このバブルは不動産ほどの成金を生まなかったことと、株価以外の経済が堅調であったこともあり、高級品や高額の外食など限られた範囲での冷え込みでした。当時一人300元(約5000円)くらいした高級飲食店の「割安ランチ合戦」は、なかなか興味深いものでした。

この他にも、上海万博終了後の2011年からしばらくの間、「万博ロス?」のような状態があり、それにリーマンショックのあおり、尖閣問題からの日中関係の悪化による限定的な不景気、はありました。全体として経済はいいはずなのに、何か漠然とした不安?を感じました。また、万博に備えた?治安維持の強化による「日本人の減少」などもありました。2010年の上海万博の前、一時的な現象として「何しているのかよくわからない日本人」が上海に流入し、上海の日本人は「登録5万、常駐10万、流動20万」と言われるくらい増えました。その人たちが万博終了後に一気に減ったので、仕事の関係では特に何も感じませんでしたが、生活圏(特に夜)では、日本人の減少と日本人向けサービスの縮小、後退を感じました。

2020年の新型コロナ発生以降、上海での日常は、未だにコロナ前の2019年の状態には戻っていない、と感じます。しかし、私が目にしている昨今の景気後退局面?は、いままでにもあった景気後退局面とあまり大きな違いを感じません。「経済力が向上した上海+規模の経済」という恵まれた環境の中にいるからかもしれません。内陸部の2-3線級都市等のほうを見に行った方が、よりシビアな現実が見えるのかもしれません。また、今回不動産に端を発したバブル崩壊は確かに深刻ですが、消費者視線で見ると、困るのは投機的だった人たちが大部分で、景気に左右されず堅実な生活をして、実業に従事している人たちには、そこまで大きな影響を与えないかもしれません。いわゆる、ただの不景気、で終わるとみています。
あと、人影が減っていることには、新型コロナ前からの「ライフスタイルの変化」が影響しています。10年以上前から存在する「宅」という文化が、進化しつつ人々の生活に浸透してきていること、それと、「近い・短い・安い」の娯楽、健康志向に名を借りた外食控え、など、急に出てきた現象だけではないのです。「拍車がかかっている部分」と「新たに見えてきた活気」の両方に目を向けていきたいですね。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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