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2022SS_調べたもの_春の定義:仮説2

 こんにちは、わたしです。この仮説検証がぜんぶ終わる頃、東京は梅雨を迎えるでしょうか。梅雨と初夏って、どちらが先に来るのですか。

海の春の定義について、前回わたしは魚の分布密度ではないことを知りました。こうなると魚が元気になることくらいしか思い浮かびません。これを活性と言うそうです。では活性を決める変数はなんなのか。

 今日はその仮説2について。

仮説2:日照量の増加

 陸が春になって、すこし遅れて海が春になると教えてもらいました。陸が春になる定義は、複数あります。カレンダに従って、3月から5月までを春としたり、気象学的には、春分の日から夏至までを春としたりします。でも一般的にヒトが「春だなぁ」と思うのは、空気の鋭利さがなくなったり、桜が咲いたり、夜に濃い花の匂いがし始めたりすることだと思います。ヒトは陸にいるので、こういうのは太陽がぽかぽかしていることや、その時間の長さが関係するのかなと思いました。春は夏至までって書いてありましたし。なので海にもこれが関係あるのかなと思いました。そして、仮説を立てたときには日照量としていましたが、前述の通り日照時間(ぽかぽかする時間の長さ)と日射量(ぽかぽか具合)に分けて考えることがいいなと思って、ここでは分けて進行することにしました。
 でも。これを見てください。

表1.日照時間の月合計値(h)、全天日射量の月平均値(MJ/m2)と月毎の平均気温及びその相関について

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 気温との相関が低すぎると思いませんか。あるにはあるけど、どうも微妙すぎる係数です。日照時間については平均気温と負の相関が、日射量については正の相関が認められます。うーむ…ただ日射量については、冷静に考えると太陽光は直接空気を(そんなに)温めないです。多く温めるのは陸地などの物質で、それからの輻射熱で大気が暖められて、気温が上がります。そう考えると、上記がなんとなく理解でき…る…のかな…でもここではもう何も詳らかにならなそうなので、気を取り直しましょう。原点に立ち戻り、春とされる季節と、海の春とされる初夏を比較します。

表2.日照時間の月合計値(h)、全天日射量の月平均値(MJ/m2)の季節変動について

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 もう、この表からも何もわからないです。表1.では思ったより相関が低く、春と初夏を比較した表2.から読み取れることは、初夏よりも春の方が日照時間も日射量も多いということだけです。思ってたのと違う。表1.では正の相関があった日射量については、ここでは季節変動が見られないという結果になりました。すごい。全然関係なさそう。
 でも困りました。日射量は本当に海水に、多く寄与しないのでしょうか。例えば、海に届く光が増えたら魚が元気にならないでしょうか。でもこれについては、海水に届く太陽光は日射量に比例するのは当たり前なので、あんまり当てにならなそうです(海面に届いた太陽光の約95%が海中に進み、残りの5%が反射します。海中のプランクトンなどによる反射でそのうちの0.5%は大気中に放出されますが、それ以外は海の奥へと進みます。そして減衰を繰り返し、水深200mくらいからは、まっくらになります)。

まとめ
 すこしらんぼうにまとめると、この仮説は正しくなさそうというか、季節ごとの魚の活性への寄与度が低いことがわかりました(下表3.参照)。残念でした!

表3.各因子における季節変動判定

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 ただここで一度頭を冷やして、前回の言葉を引きましょう。すっかり忘れていました。

結論を急ぐことは避けなければなりません。ここでは性急さから逃れて、最後に総合的に判定したいと思います。

 ここでもこれに従いたいと思います。もっとましな帰結のために。

文献:
1)気象庁(2022).各種データ・資料 > 過去の気象データ検索 > 観測開始からの毎月の値
2)Hosoda, S., M.Nonaka, T.Tomita, B.Taguchi, H.Tomita, and N.Iwasaka (2015), Impact of downward heat penetration below the shallow seasonal thermocline on the sea surface temperature, J. Oceanogr, in press.
3)新井 励,中谷 直樹,奥野 武俊(2008).可視域における海水の光学的特性を用いた物質濃度の計測手法.日本船舶海洋工学会論文集 第7号
4)石井 智,金久保 光央(2019).太陽光をエネルギー源とした光熱変換膜による海水淡水化の研究

 写真は九州のサーフです。珍しくrawです。

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