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給付金で美顔器を購入した罪悪感と葛藤

※全文を公開している「投げ銭」スタイルの記事です

この記事を書き始めたのは2020年6月18日のことです。ニュースでは明日から県をまたぐ移動制限が解除されること、「接触確認アプリ」(すごい名前だな)がリリースされることが報道されています。

1か月前の東京は緊急事態宣言下にありました。つい昨日のことのようでもあるし、遠い昔の記憶のようにも感じられて、変な気分です。私はいまだに「ステイホーム」気味の生活を送っていることもあり、時間の流れがいまいち実感できずにいます。

これがさらに1ヶ月、また2ヶ月と経ち、再び長袖の服を着るようになるころにはどのようになっているのでしょうね。願わくは「みんな5月はどうしてた?」という、どんな場でもトークに困らなくなる「鉄板ネタ」化していてくれるとよいのですが、こればかりは一人ひとりの心がけ次第。こまめな手洗いとうがいを継続していきたいと思います。

「杉本彩の美顔器」を買った

もし私が上の「鉄板ネタ」を振られたら、生まれてはじめて美顔器を購入した話をするでしょう。タレントの杉本彩さんがプロデュースした「ララルーチュRF」という商品をポチってしまいました。

数ある美顔器のなかでこの商品を選んだ理由は、40代の美容系YouTuberさんがおすすめしていたこと、そして「杉本彩がプロデュース」という文字列の圧倒的なパワーです。

かつて「ウッチャンナンチャンのウリナリ!!」で「芸能人社交ダンス部」を見届けながら育った私にとって、「杉本彩」という3文字の説得力はいかんとも形容しがたいものがあります。姐さんが手掛けたなら間違いない。そういうことになっています。

商品の詳細は異様なまでに縦長の公式サイト(俗にいうランディングページ)を参照いただければと思いますが、美顔器としてはお手頃価格の33,000円でした。各種プランによって値段は異なります、商品リンクは巻末に。

外出自粛期間まっさかりのなか、のんきにこんな買い物ができたのは「このあと給付金が入ってくるから大丈夫!」という安心感のおかげです。

「すっぴん×準パジャマ着」の生活に彩りを

5月は食料品の買い物以外、外に出ない日々でした。おめかしをする必要はないので「準パジャマ」とでも呼びたくなるような服を着回しです。Web会議システムの画像補正機能に助けられ、化粧もしなくなりました。

どんどん見た目に頓着しなくなっていく私に、ある日、美顔器の広告がSNS上で表示されたのでした。

これまで見向きもしなかった美容家電が心に留まったのは、自分のなかのなにかが「このまま外見を気にしなくなるのは危ない!」と警鐘を鳴らしたからかもしれません。

そこから始まった、私の美顔器探しの旅! YouTubeの使用レポート動画を観たり、Amazonや価格.comのクチコミ、ブログのレビュー記事を読んだりしながらある程度しぼりこみ、最終的には美容好きの知人にZOOMで相談です。

オンライン飲み会に慣れることができなかった私にとって、久々の「他人との会話」でもありました。彼女から発される「LED」やら「EMS」やらの用語を交えた解説を理解できたかは怪しいところですが、とても楽しいひとときでした。家族や仕事以外での会話って大事だったんだなあ。

紆余曲折あったものの、最終的に選んだのは冒頭でご紹介した「ララルーチュRF」です。期待の根拠が「杉本彩」の3文字だなんて、熱心にアドバイスをくれた友人もズッコケていることでしょう。

私のなかにいる「美顔器は生活必需品ではない!」警察との葛藤

私は普段「パート主婦」を名乗っています。フリーランスなのですが、パートワークのような形でちょこちょことお仕事をいただいていることから、この自己紹介に至りました。

5月時点では、コロナウイルスにともない新規案件がなくなってしまったものの、継続業務はそれまでどおりリモートワークで進めることができました。なにより、夫がしっかりサラリーマンをやってくれているのは心強かった!

さらに我が家は夫婦2人世帯。つまり「家計に大打撃」の事態には陥らなかったということです。政府の方針転換により、そんな私たちにも給付金が支給されることになりました。

やったあ! と喜んだのは一瞬のことです。連日報道されている経営難の企業や衣食住がままならない世帯の姿を思うと、すぐに罪悪感がわいてきました。そんなことを言うならば全額寄付すればよいのですが、それはそれで惜しい……と思ってしまう自分がまた、嫌になります。

せめてもの罪滅ぼしにと、応援したい飲食店のテイクアウトフードを購入したり、配信をがんばる著名人に投げ銭をしてみたり、インターネット上の募金サービスを使ってみたりしましたが、その合計額はここに書けないほど少額です。満足に暮らせていて、夫婦2人ぶんの給付金20万円がもらえるというのに!

そこへきての「美顔器」です。

ダラダラと縦に長い公式サイト(つまりランディングページ)の購入ボタンを押すまでには、少々の時間を要しました。美顔器のなかではリーズナブルとはいえ、商品価格の3万円をポンと支払うことには抵抗感があったからです。

私の仕事は先々減っていくことが目に見えていました。お金は少しでも温存しておくほうが安心です。

しかも美顔器なんて娯楽商品のようなもので、生活必需品ではありません。

「こんなものを買うくらいなら、募金などの“有意義なこと”に3万円を投下するべきではないのか?」

と、もうひとりの自分が苦言を呈してきます。

ああ! ここで「そうだよね! じゃあ募金する!」と言えてしまう自分でありたい! 

しかし私の心は正直者で、お金を出し惜しむのでした。

「自粛生活、よくがんばっているよ。自分にご褒美をあげたっていいじゃない」

なんて声をかけてくる始末です。

整体の先生に「だいぶ凝っていますね、お仕事がんばっていらしたんですね」と声をかけられると「そうそう、そうなのよ」と言ってしまいたくなるあの心理が蘇ってきます。

「そうだそうだ、ほぼ毎日がんばって自炊しているし、買い出しもひとりでやっている! ご褒美をあげたっていいはずだ! そのための10万円だ!」

こうして、罪悪感を抱きながらも「杉本彩の美顔器」を購入してしまったのでした。

美顔器による「見た目」のビフォーアフター

美顔器を購入してから約1ヶ月が経ちました。「1回5分、1日おき」の使用を勧められていたので、愚直に守っています。すなわちだいたい15回くらい使ったことになりますが、その成果はこのとおりです。

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「サイゼリヤのお子様メニューの間違い探し」以上の難問を提示している自覚があります。自分でも、何が変わったのかわかりません。これを人は「変化なし」と表現するのでしょう。

しかし見た目の変化は当初から期待していなかったので、これでいいのです。……強がりではなく、本心ですよ!

というのも、そこそこ高いフェイシャルエステに行ったときに、何の変化もなかった過去があるからです。

施術担当のお姉さまの「わあっ、いらしたときよりもずっと小顔になりました!」というハイテンションは柳原可奈子さんのネタそのものでした。

その「圧」に負けることなくこっそり撮影しておいたビフォーアフター写真を見比べたところ、私は何の変化も見つけられなかったのです。

曲がり角をとうの昔に迎えたお肌や表情筋等にとって、「よい施術」をしてもらったことは間違いありません。

ただそれは1回やったからといって見た目に変化が現れるものではないのです。勉強だってダイエットだってゴルフだって仕事だって、継続してこそ効果がジワリと出るものではありませんか!

金銭的にも時間的にも余裕はなく、そのエステに通うことはできませんでした。でも「杉本彩の美顔器」ならば、壊れるまで日々使い続けることができます。洗顔の延長線上の新たな習慣として、地道に続けていく所存です。

「プラスの変化」はないかもしれませんが、加齢による「マイナスの変化」を食い止められるようにがんばります。

美顔器による「心」のビフォーアフター

「そんなことなら、やっぱり募金等にまわしたほうが正しかったのでは?」

という声もどこからか聞こえてきます。でも私は、有意義な3万円だったと思っているのです。

1回たった5分、しかも1日おきという使用頻度ではありますが、それを使っている時間はまちがいなく自分の顔を見つめています。必然的にその時間だけは、自分の見た目のことを考えるようになりました。

「たまには毛穴のケアをしてあげよう」
「いつもよりちょっといい洗顔料を使ってみようかな」
「目が疲れているからマッサージをしよう」

化粧をせず、自分の外見を気にしなくなった私にとって、そんな気持ちになること自体が大きな変化でした。

私の見た目を気にしたところで、ケアしたところで、困窮している人が救われることはありません。無駄なことだと言われればそれまでです。

でも「やままあき」にとっては無駄ではありません。

私は宇宙船地球号のクルーの1人である前に、自我のある人間です。AIとは違って、「モチベーション」などというものが日々の言動を左右してしまうのです。

「誰かのために」の想いを自分に向けることも大切

「給付金を”善いこと”に使わなきゃ!」と思っていながらも本心が「嫌だ」と駄々をこねたのは、私自身が満たされていないことのアピールだったのではないかと考えています。

満たされていないまま、罪悪感や義務感に背中を押されて何かに貢献しようとすれば、それは「やってあげた」という態度になって表れるのではないでしょうか。

きっとその感情はずるずると心にへばりつき、自分を摩耗させます。卑屈で嫌味になり、人相も悪くなる。

これに伴って、私の周辺にいる人の幸せも奪うことでしょう。大げさな話ではありません。機嫌が悪い人の近くにいると、それだけで疲れませんか?

募金や寄付は義務感にかられて行うものではありません。そうしたいときにすればいいのだと思うようにしました。

給付金のおかげで美顔器という「生活必需品ではないもの」を購入でき、私の心が潤ったのです。そのことで、外出自粛生活で自分の心がすさんでいたことにも気づきました。

給付金がくれたのは美顔器ではなく、「ちょっとした心のゆとり」だったのだと思います。

フェイシャルケアの時間に自分を見つめながら、「一緒にいると元気になれる人」を目指してがんばります。

▼「ララルーチュRF」商品情報(アフィリエイトではないです)
https://liberata.jp/html/lp_regina_rf/campaign2/

▼ランディングページが魅力的だったのでポッドキャストで読み上げてみました
https://open.spotify.com/episode/2KLi9RUTnWY6RNTCZYTkiK

最後にごあいさつ

改めまして、やままあきです。

インディーズエッセイストを自称して、このnoteやブログ、ポッドキャスト、電子書籍等、いろいろな形でエッセイを発信しています。

よかったら下記情報もチェックいただけたら幸いです。今後ともよろしくお願い致します。

・ポッドキャスト:「喋りたいことやまやまです」 
・ブログ:「言いたいことやまやまです」
・電子書籍:『凡人の星になる』
・電子書籍:『喫茶アメリカンについて言いたいことやまやまです』

※以降に文章はありません。もし気に入っていただけたら「投げ銭」で応援していただけるとうれしいです!

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