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明日からすぐ使える機能神経学の活用法(前庭〔半規管・耳石〕編)

こんにちは。山下玲央です。

私は、専門学校卒業後すぐに、個人事業主として独立し

①治療家・鍼灸師 
②ピラティスインストラクター
③サーファー・サーフィンインストラクター
④モデル

として活動しているものです。

その名も、「四重人格の21歳」と呼んでいます(笑)
詳しい経歴、背景は下記の記事をご覧いただけると嬉しく思います。

普段は、治療&コンディショニング、ピラティスインストラクトとしてのお仕事がメインで
主に、慢性痛改善、姿勢改善、骨盤矯正、怪我後の機能回復、脳梗塞後・脳出血後の機能回復などを担当させていただいております。

今回は、皆様に

✔️機能神経学とは?
✔️前庭覚(半規管・耳石)とは?
✔️前庭の機能不全が引き起こす問題とは?
✔️実際の現場で、どう活用するのか?

これらについて、自身の経験も含めシェアさせていただきたいと思います。

ですので、今回の記事は

・機能神経学を知り、現場で活用したい方
・脳のシステムに興味があり、治療のレパートリーを増やしたい
・前庭(半規管・耳石)について理解を深め、治療の結果を出したい
・前庭が、体にどのような影響をもたらしているのかを知りたい
・慢性痛改善、怪我後の機能回復、姿勢改善、骨盤矯正に強くなりたい
・他のセラピストと違いをつけ、差別化をしたい

そんな方にオススメの内容になっています。


いきなりですが、今回も皆様に質問です。

根本改善とは、なんでしょうか。

今の治療法で、患者様の症状の根治改善できていますでしょうか?

そうといえど私は、治療をこれまで行ってきて感じることがあります。
それは、、、

ぶっちゃけ、治療法なんてなんでもいい。

そう思います。(どっちなんって言わないで下さい)
結局は、患者様が笑顔になればいいと思うからです。
ですので、私はどんな治療法でも素晴らしいと思いますし、否定はしません。

しかし、人を診る立場として、十分な結果を提供し、患者様の症状の根本に向き合う事は非常に大切だと思います。


私は、去年の夏、「機能神経学」という人間の全てのシステムを司る「脳」にフォーカスした学問に出会いました。
この出会いが、私のセラピスト人生2回目のターニングポイントになりました。(1回目に関しては、先程の記事をご覧ください。)

そこから、ヒトを筋・骨格目線で診るのではなく、「脳ベース」で診るようになりました。

なぜならシンプル。
「脳」が、、、

痛みのコントロール
筋緊張調整
姿勢
自律神経調整
柔軟性
運動の発現・制御

など全てをコントロールしているからです。
全ての行動の根底には「脳」が関わり、我々が「心」と呼んでいるものも、脳によってもたらされる一連の働きの集合なのです。

今回のテーマでもある「前庭」についても、前庭が正常に働いていないと、

・身体の位置・方向・感覚が認識出来ない
・姿勢維持が難しくなる
・自律神経調整が出来ない(間接的関与)

これらの症状が現れます。

結果、脳は痛みをコントロールすることが出来ず、いつまで経っても症状の改善には至りません。

例え、痛みがその場で無くなっても、それは根本的に改善している訳ではなく、代償的に痛みを何かしらでカバーしているだけの可能性が高いです。

ですから、今回は「前庭」にフォーカスし、脳から根本的に変えてしまおう!ということです。


因みに、なぜ今私が「機能神経学」をベースにしてセッションを行なっているか?というと

私がこれまで触れてきた治療の中で、
最も科学的に証明ができ、信用性が高く、
エビデンスベースで、理論的に説明ができるからです。

自分が説明できるもの、自分が納得したものでないと、クライアント様にはご提供できません。
ですので、現場で積極的に活用しています。

そんな脳について、今回は基礎の考え方から現場での活用法まで、存分にシェアしちゃいます!

改めて、、、

・機能神経学を知り、現場で活用したい方
・脳のシステムに興味があり、治療のレパートリーを増やしたい
・前庭(半規管・耳石)について理解を深め、治療の結果を出したい
・前庭が、体にどのような影響をもたらしているのかを知りたい
・慢性痛改善、怪我後の機能回復、姿勢改善、骨盤矯正に強くなりたい
・他のセラピストと違いをつけ、差別化をしたい

そんな方は、最後までお付き合いいただけますと、嬉しく思います。
この記事を最後まで読んでいただけた方のお役に立てれば幸いです。

それでは、宜しくお願い致します🙇‍♂️

※note内の文章等の無断転載及び複製、配布、共有などの行為はご遠慮ください。引用も厳禁です。
尚、上記の内容が発覚した場合は、対応させていただきますので、ご理解、ご了承の程宜しくお願い致します。
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機能神経学とは

投薬や手術を行わず、機能低下している脳や神経系の働きを活性化し、本来の機能を取り戻すアプローチで、科学的に証明されている米国発の自然療法になります。

主に、大脳皮質、脳幹(中脳・橋・延髄)、小脳、基底核、島皮質、扁桃体、体性感覚、視覚、前庭などを特定的に刺激し、左右差を修正していきます。

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人は〇〇を優先して生きる

私は人を診る上で、この考え方は、非常に大切だと感じています。

Threats first. Performance second.

要は、「人は、生存を優先する」という事です。
常に、人は生存を優先し、体を守ることを優先的に行います。 

本来、動物は生き延びる為に敵から自分の身を守ります。

現代では、狩りも必要なければ、敵からいきなり襲われる心配もしなくていいですが、時代がどんな進化を遂げようと、本来の本能は残っているのです。

ですので、その人にとっての「脅威」を取り除くことが第一に大切になります。

中でもこれからお話しする三要素は、非常に大切です。

人が機能的に働く為に必要な三要素

① 体性感覚
② 視覚
③ 前庭

この三つです。


▪️体性感覚
⇨ 表在感覚(皮膚・温冷覚)、深部感覚(関節・筋肉)

▪️前庭
⇨ 半規管(前・外・後)、耳石(卵形嚢・球形嚢)

▪️視覚
⇨ 眼球運動、対象物との距離感、周辺視


なぜかというと、、、

人は、三要素(体性感覚、視覚、前庭)からの正確な求心性のインプットによって、脳が適切な処理を行い、正確な遠心性のアウトプットが出るから

です。

三要素のどれか一つでも、機能不全が起こると、脳は正確なインプットが入ってこないので安心できず、防御(=安全確保)するために“過緊張”を作り、不適切なアウトプットを発信します。

つまり、、、

根本から体全体のシステムを変え、機能的にする為には、三要素(体性感覚、視覚、前庭)に介入し、正常化させることが第一優先となります。

何から修正していくべきか?

これも非常に大切になります。

Improve input before fixing output.

訳すると、
「アウトプットを修正する前に、インプットを修正しよう!」
という事です。

ここでの定義は、

アウトプット
⇨ 遠心性(中枢から末梢に向けて)

インプット
⇨ 求心性(末梢から中枢に向けて)


です。

先ほどお話しさせていただいたように、インプットが正常でなければ、脳は正確な情報を得ることが出来なくなるので、“過緊張”を起こし、不適切なアウトプットを出してしまいます。

それらは結果として、

痛みのコントロール ⇨ 
筋緊張調整 ⇨ 

姿勢 ⇨ 

自律神経調整 ⇨ 

柔軟性 ⇨ 

運動の発現・制御 ⇨ 

ですので、

Improve input before fixing output.
〜アウトプットを修正する前に、インプットを修正する〜

という考え方が、非常に重要になってくるのです。

脳の機能

早く本題に行きたいのですが(笑)やはり、「先にこれらを押さえておかないと!」と思うので、紹介させてください。

主にザックリ脳の機能を挙げると

・生命維持
・危険回避
・判断
・認知
・排泄
・感情のコントロール
・知的活動
・運動のコントロール
・痛みの抑制
・全身の緊張バランスの調整
・自律神経の調整
・平衡感覚の調整
・姿勢の維持(アライメント保持)


これ位はあります。

見ていただいても分かるように、結局は「脳」が全てのコントロールを行なっているのです。

ですので、「脳」を無視して、人の身体を診ることは出来ないのです。。。

投射経路について

次に、求心性・遠心性ともに、どの様な経路で繋がっているのかを
簡単にご説明させていただきます。

① 求心路

スクリーンショット 2021-11-17 14.47.35

② 遠心路

スクリーンショット 2021-11-17 14.54.34

※スライド内の「10%」「90%」は、各前頭葉から出るアウトプットの量になります。実は、対側に飛ぶアウトプットは、10%程度しかありません。
10% → 対側の随意的な姿勢筋緊張のコントロールを調整
90% → 同側の不随的な姿勢筋緊張のコントロールを調整
ちなみに、同側に飛ぶ90%のアウトプットは脳幹に行き、痛みやバイタル、反射、動作のコントロールの補助を行なっているので、非常に大切になります。※PMRFは、鞭打ち・頭部の損傷・脳震盪・不活性などで機能低下に陥ります。
仮に、右足関節を怪我したとします。この場合、右からのインプット量は減少しますので、左の皮質は不活性になりやすくなります。(求心性)よって、左のPMRFの機能低下が起こり(遠心性)、結果として左の痛み・バイタル・反射・動作のコントロール不全は起こり得ます。
今回は前庭ですが、左のPMRFの機能低下が起こると、後に対側の前庭・小脳が機能低下を起こします。(この場合、患側の機能低下が起こります)

ちなみに、脳梗塞等で、対側の姿勢筋緊張コントロール不全になるのは、この10%の影響によるものです。

この投射経路は、これからの内容に必要なので、しっかり理解しておいて下さい。
一つ一つの意味は、まだ分からなくても結構です。

脳の機能不全によって起こる反応

先ほども少しご紹介させていただきましたが、もう少し詳しく見ていきます。

三要素(体性感覚、視覚、前庭)の機能不全は、、、

・筋緊張の増加
・支持基底面の増加
・歩幅の減少
・重心移動の低下
・可動域の減少
・出力の低下
・交感神経優位
・周辺視の狭窄
・感覚過敏 or 鈍麻
・めまい
・浮遊感
・姿勢不良(猫背、反り腰、HFPなど)

最低でも、これらの反応は顕著に現れます。


全て自身の身を守る防御反応であり、“過緊張”を起こしている結果で
これこそが、「生存を優先した結果」なのです。

なので、何度も申し上げますが、

Improve input before fixing output.
〜アウトプットを修正する前に、インプットを修正する〜

これが、大切になります。

脳が機能低下を起こす理由

機能低下に陥る理由は、簡潔に

刺激不足

の一言に尽きます。

要は、、、

・単に運動不足(=刺激不足)
・刺激の一定化(デスクワークとか)
・ケガによって長期保存、固定
・事故による機能低下

など様々な理由で、機能低下は、比較的すぐに陥ります。

ですので、復唱になりますが
根本的に痛み改善や機能回復を行おうと思ったら、その方の感覚低下を起こしている部位を特定し、感覚入力を行うことが、第一優先ではないでしょうか?


では、ここから今回の本題に入っていきます。
宜しくお願い致します。

前庭の構造と機能について

まずは、前庭の構造についてご紹介いたします。

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今回は、大きく分けて2つです。

① 半規管(前、後、外)
② 耳石(卵形嚢、球形嚢)

神経は、脳神経Ⅷ=内耳神経が支配し、さらに分けると

・平衡感覚を司る「前庭神経」
・聴覚を司る「蝸牛神経」

に分かれます。
ま、ここに関しては、教科書に書いてある内容なので、詳しくは書きません。

では、先ほどご紹介いたしました、半規管と耳石について詳しくお話し致します。さらっと書きましたが、半規管には3部位あり、これは学校では学ばない内容かと思います。

半規管

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