観劇日記(2021年11月第1週)

11月1日(月)
起きてテレビをつけたら比例で自民が議席を増やしていて衝撃を受ける。天気も悪く気分が塞ぐ。月曜なのに芝居を2本観る予定になっている。雨が降るかもとのことで折りたたみ傘をカバンに入れてまずはBUoYへ。ほろびて『ポロポロ、に』(作・演出:細川洋平)。受付でMくんと遭遇。案内された席はSさんの隣だった。斜め後ろにUさん。陰惨でほとんど救いがなく、しかも明らかにこの国の未来を映した作品は今日という日に見るにはあまりに重い。現状から目を背け続けるうちに気がつけば貧困の底にいる、という話は演劇的仕掛けも相まって身につまされる。まったく他人事ではない。一方、登場する女性がことごとくステレオタイプな不幸を、ほとんどそれだけを背負わされている点はそれでいいのかとも思う。ステレオタイプをインストールした男による、無意識のものも含めた加害や悪を描こうとすると、被害もまた類型的なものになってしまうのではあるけれど、そこで人物までもが類型化されてしまうのであればそれは作り手による二重の搾取にもなりかねない。しかもラストで提示されるごくかすかな希望も女同士の連帯でしかないのであって。それとは別に、社会的な問題を扱った作品が作者と問題意識をあらかじめ共有する観客によって消費されるような状況について考える。これはいわゆる「社会派」作品全般についての話。下北沢への移動の電車でMくんと感想など話す。
日記屋 月日でマレビトの会『アンティゴネーへの旅の記録』と阿久津隆『読書の日記 本づくり スープとパン 重力の虹』を購入。コーヒーを飲みながら『読書の日記』をめくり開場時間を待つ。
本多劇場でM&Oplays『いのち知らず』(作・演出:岩松了)。岩松了は本当に面白い。じわじわと広がる不穏が最後にはたしかと思われた現実をも浸食する。何が本当で何が嘘か。今回も双子の登場人物がいた。公演パンフレットを買って『読書の日記』をめくりながら帰宅。18時開演だったので帰ってから夕飯にしたのだが失敗。節約のつもりでもあったのだがお腹が空くし疲れるしでいいことがない。
YPAMのプログラムが発表になったが思ったより数が少ない。それでも自分の公演があると観られないものが多くて悲しい。DMでWさんSさんと『ポロポロ、に』の感想をやりとり。結局折りたたみ傘の出番はなかった。

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