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David Hockney 『秘密の知識』には続きがあった

昔ホックニーの『秘密の知識』を読んで,めちゃくちゃ感動した記憶がある.
そしてその感動は記事にしたほどのものであった.
(noteに復刻しました)

僕の中では実はこれで完結していたのだが,実はこの物語には続きがあったということを今日初めて知った.

それは映画という形になって僕の前に現れてくれたのだ.

この映画.
Timという主人公が「自分の人生で最もやりたい/夢にまで思うやりたいこと.それはフェルメールの絵を書くことである」というところから始まる.

そして,ホックニーも指摘したように,フェルメールが光学装置を使って絵を書いたという仮説のもと,手法を検証していく.
実証実験を進める中で,自分の中で確信めいたものを引き起こす手法を発見する.
そして,最後にはフェルメールの絵に使われた部屋を完全再現し,120日以上もかけて自分の手法で絵を書き上げてしまうのだ.

この物語の途中には,自分のアイデア・手法に妥当性があるかを意見してもらうために,ホックニー自身に意見を聞いたり,『フェルメールのカメラ』という本の著者(兼大学教授)とも話している.


ここまで書けばわかるだろう.
本当に素晴らしい映画である.

そして,これこそが研究に求められる姿勢であるとともに,(ファインアートライクな)メディアアートに求められるものだとも言えるだろう.


これは極めて個人的話だが,僕の中では電子物品を使ったインタラクティブや可動式の作品というのがどうにもしっくりこなくなっている.
すなわち「いわゆるメディアアート」にはほぼほぼ興味はなくなってしまっている.
しかしながら,「メディア」というものに対して自覚的でありかつ「表現としての作品」を作ったり見たりするのは相変わらず好きである.
そして,今回の映画にあるTimの検証プロセス〜作品制作のプロセスはまさに僕の望む姿そのものでもあるのだ.


あまり綺麗に文章を書くことができなかったが,とにかくこの感動と素晴らしさを伝え回りたい.
そして,こういうフェルメールがやったような発明(でありかつ作品制作)こそがメディアアートに求められるべき本質であり,今後も僕はそれを志向していきたいというところでもある.

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