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日々の蛾活の先につくったもの。「蛾」という大海に漕ぎ出す最初の1冊
蛾は魅力的ないきものです。かわいいのがいて、かっこいいのもいて。毒々しい蛾も魅力的ですし、不思議な生態を持つ蛾もいろいろいます。色、形が多様で、なにより身近な場所にもいろいろな種類が生息しています。でも、種類が何千種類といて(日本で6000種とか7000種!?)、とても名前を調べるのが難しい生き物です。そして、専門的な大図鑑はあるのですが、手頃な初心者向けの図鑑がほとんどありません。
わたし自身、蛾にはとても興味があるのですが、冬尺蛾の観察と家の玄関に来る蛾を気にしている程度です(ライトトラップはしたことがありません)。だから1万円以上するような大図鑑には手が出ません。
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「玄関蛾」愛好家のわたしの蛾調べ
では、そんなわたしがこれまでどのように蛾を調べてきたか、その蛾活の日々をいきもの部のツイッターから紹介します。
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9月27日 今晩のお出迎え。きれいだなぁ。名前はまだ調べてません。
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9月28日 まず、いつものように『日本の昆虫1400』を開く。ほほう、緑色のこういう蛾は「アオシャク」って言うんだ。
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で、それを頼りに「みんなで作る日本産蛾類図鑑」にいくとアオシャク亜科があるんだ…。そして、カチカチ画像を見比べてみる。
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うーん、ヒメツバメアオシャク……???
11月12日 今晩のお客様。いつもの『日本の昆虫1400』で当たりをつけてから「みんなで作る日本産蛾類図鑑」をカチカチ。うーん、ヒトツメオオシロヒメシャク? 出現月がなー? うーん。それにしても、斑紋の光沢というかウェット感はどういう構造だろう?
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……と言う具合です。
つまり、文一さん『日本の昆虫1400』で軽く絞って→WEB図鑑「みんなで作る日本産蛾類図鑑」で詳しく調べるという流れです。
まず、初心者向けの図鑑で大まかかに調べるのです。なぜなら最初にお話ししたとおり、あまりに蛾の種数が多いからです。
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この図鑑では、蛾は約70ページにわたって約230種類ぐらい掲載されています。これぐらいだとドンピシャがあれば超ラッキーで、でも、だいたいちょっと似た蛾は載っているのです。その似た蛾をキーにしてWEB図鑑に移るわけです。
で、これが似てるな……と思ったらこちらです。
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皆様ごぞんじの「みんなで作る日本産蛾類図鑑」です。掲載種数と掲載写真数が多く、一定の信頼性があり、かつWEBで無料という図鑑です。現在は更新されていませんが、80科6021種、画像は成虫4112種、幼虫672種が掲載されており、画像は10000枚以上という巨大サイトです。
しかし、この「掲載種が多く」「画像が多い」のが難しいのです。検索システムがありますが、あまり機能せず、少なくともわたしのようなシロウトは結局「成虫縮小画像一覧」を見ていくことになります。書籍の図鑑でいうところの「総ページめくり」です。「絵合わせ」で絞っていくわけです。
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自慢ではありませんが、昔、このマエアカスカシノメイガを調べるのに、「みんなで作る日本産蛾類図鑑」だけでチャレンジしたのですが、「ヤガ科」全1098画像、シャクガ科全699画像全部見た上で出てこず(だってツトガ科だし)、もう本当にね……「次の50件>」を死ぬほどクリックしたんですよ。カチカチ、カチカチ、カチカチ……ひたすらクリック&スクロールで画像を見て、見て見て見て見て見て見て、このマエアカスカシノメイガにたどり着いた喜びといったら!!!
まぁ、いまなら画像検索うまく使えよとか、SNSで聞けよ…ということなんですが、ちがうんです。紙の図鑑でもこの手のWEB図鑑でも、ちゃんと向き合ってこそ、その種群の全体像とか、似た仲間とか、気になるアイツとか、あのへんにあれが……といった感じで必ず次につながる財産になるのです。
でも、でも……蛾は種類が多すぎてさすがに厳しいのです!(笑)
なので、ある程度「科」が絞れた方が、カチカチが楽になるのです。そのための入り口としての『日本の昆虫1400』というわけです。
ただ、もうちょっと蛾に特化した図鑑が欲しいなあーと思っていたのです。
なので、わたしによるわたしのための図鑑を作ったのです!
すみません……言い切りました(笑)。
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端的に言うなら、この『くらべてわかる蛾1704種』は、わたしにとっては『日本の昆虫1400』に代わる蛾の入り口図鑑で、かつ「ドンピシャがいたらラッキー度」が高い……というものになります。コンセプトは「ならべて絞るカタログ図鑑」です。
特徴① この図鑑はB5判とやや大きめのサイズで、ひと見開きにけっこう種類を入れているので高い一覧性が特徴です。見比べるのに楽になっています。
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特徴② 文字情報は最低限です(YURUSHITE)。割り切りました。
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特徴③ 頭にちょっとだけ色別のインデックスを用意しました。色が気になるときはまずはここで絞れるかも。ただし、全種をインデックス化しているわけではありません。茶色は放棄しました(GOMENASAI)。
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特徴④ 1704種が必要にして充分な種数なのか? これはもちろんその人のレベルによって変わりますし、監修者や著者の先生と大きな議論となったところです。でも……個人的にはいい感じの種数では?と思っています。
さて、実際に使えるでしょうか? 過去、いきもの部のツイッターで画像を投稿したものの名前を調べていないものがいくつかあったので、それを調べてみます。
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11月26日 今晩のお出迎え。また模様の違う蛾が来ていた。触角の繊細さに感動。まだ、名前は調べてません。
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ああ、これはすぐに見つかった!
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「晩秋に見られる」→11月末の観察だった
「他に似た種はいない」→うれしい備考コメント(笑)
これはニトベエダシャクかも! これは誰でもわかる種類なのかな?! シロウト感モロ出しですみません(笑)。
お次はこちら。
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5月21日 雨の夜だけど、玄関にカッコいい蛾がきていた。細身のボディ、白のストライプ、二股?に尖った顔。まだ名前は調べてません。
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似たのを発見! ん? 2種類いるな。
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これは……シロスジツトガかニセシロスジツトガか? うまいぐあいに(?)識別点が明記されていて、これは白い筋の上が「突出しない」からシロスジツトガの方かな????(jpmothでちゃんと見よう…)
……ということで、けっこう使えるんです!!(自画自賛) やっぱり「ドンピシャがいたらラッキー度」が高いんですよ! これで玄関に飛んでくる蛾を調べるのが楽しくなります。
もちろん、これですべてわかるわけではない……ということはご留意ください。識別点を懇切丁寧に解説しているわけはありません。基本「絵合わせ」で、それをもって同定……とはいかないのが現実です。この図鑑を入り口にWEB図鑑「みんなで作る日本産蛾類図鑑」に行くのもよし、専門図鑑を買うのもよし……とお考えください。
ということで、蛾という大海に漕ぎ出すときに、まずはこの1冊からはじめるのはいかがでしょうか? 大丈夫です。安心してください。わたしも一緒です(笑)。
(ブチョーw@yamakei_ikimono)
あ、もうひとつ特徴がありました!
特徴⑤ 付録としてイモムシ図鑑がついています。付録にしては278種類は多いですかね?(笑)
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