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蛇を轢いた話

私が十六歳の時、三月の誕生日に念願だったオートバイの免許をとった。
昔は自動二輪と言って、今ではハーレーでも乗れる免許だ。
免許をとって、早速最初のゴールデンウィークに、叔父からオートバイを借りて、従兄弟と一緒にツーリングを楽しんでいた。
その道中、何かロープの様なものを轢いたような気がしてオートバイを止めて戻ってみると、蛇を轢いてしまっていた。
びっくりして、少しゾッともしたが、その後もツーリングを楽しんでいた。
しばらく走ると、道路の左側を少し開けて車が止まっていた。
何故か私は、そのわずかな車の左側を、通り抜けようとして突っ込んで行った。
その時、車の左後部のドアが突然開き、私は空中に放り出された。
後ろから見ていた従兄弟が言うには、私は空中で一回転してお尻から着地したとのこと。
しかし車のドアとオートバイのステップとに挟まれた為、アキレス腱こそ切らなかったものの、三十二針も縫う、大けがをした。
また、車のドアを急に開けたのは、なんと私をとり上げた産婆さんだった。
私の生まれてくる手伝いをした人に、私は殺されるところだったのだ。
蛇という生き物は不思議な生き物である・・・・
それから今日に至るまで、二度とオートバイには乗っていない。

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