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【読書感想文】偶然にも無人島に放り出された少年たちの物語を描いた、ジュール・ヴェルヌの創意工夫とリアリズムにあふれる傑作『十五少年漂流記』

子供の頃に何度も読んだ十五少年漂流記を、最近再読しました。この本は、偶然にも無人島に放り出された少年たちの物語を描いたジュール・ヴェルヌの創意工夫とリアリズムにあふれる傑作です。8歳から14歳までの少年たち15人が、オークランドの学校が休みになった最初の夜に船旅に出かけたところ、嵐に遭って漂流してしまいます。そして、どうやって島で2年間を生き延びたのかを描く冒険譚です。

少年たちがどのようにして小さな社会を立ち上げ、運営していくのか、読んでいて楽しかったです。イギリス人とフランス人の少年たちの間には対立がありますが、それを乗り越えて協力しなければならない場面もあります。巧妙な発明、狩猟と射撃、素晴らしい洞窟住居、そして自分の行動に責任を持つことなど、示唆に富む内容です。彼らの苦境に引き込まれていくストーリー仕立てで、ヴェルヌがこの物語を書いた時は、おそらく時代の先端を行っていたように思います。

本書の物語は全体的にとても安定した流れで、分量に比べてずっと長く読んでしまいました。登場人物たちの性格や関係もよく描かれており、感情移入しやすかったです。特にブリアンとドニファンの二人のリーダー的存在は、対照的な魅力を持っています。ブリアンは冷静で知的で包容力がありますが、ドニファンは勇敢で活発で自信家です。彼らは時に衝突しますが、時に助け合います。彼らの友情や成長が見どころの一つです。

ただし、本書が発表されたのは1888年と19世紀のこと。現代の感覚からすると違和感を覚える部分もあります。例えば、モコという黒人少年が他の少年たちよりも劣った扱いを受けていることや、男子の間で銃がよく使われていることなどは、う~ん・・・と思ってしまいました。しかし、これらは時代背景のものだと考えれば、仕方ないかもですね。

無人島サバイバル物語の原点とも言える本作は、子供から大人まで楽しめる冒険心や知的好奇心を刺激する作品で、今でも色あせない魅力を持っています。

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