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【読書感想文】見えない何かが暴れまわるダンウィッチ村。人間はその恐怖に立ち向かえるのか?『ラヴクラフト全集 5 Kindle版』

本書に収録されている短編より、「ダンウィッチの怪」を紹介します。

舞台は、アメリカのマサチューセッツ州にある架空の村ダンウィッチ。村のはずれに住む一家が、異次元の魔神との交信を試み、その結果、人間とは思えない怪物を産み落とします。その怪物は、成長するにつれて暴走し、村を恐怖に陥れます。しかし、ミスカトニック大学の博士たちが、魔書『ネクロノミコン』の知識を用いて、怪物に対抗することになります。果たして、人類は魔神の脅威に打ち勝つことができるのでしょうか?

この本のテーマは、人間の無力さと恐怖だと思います。ラブクラフトは、人間が知らないことや理解できないことに対する恐怖を描くことで有名ですが、この作品でも、その恐怖が際立っています。怪物は、人間の目に見えないし、理性もないし、感情もないし、言葉も通じません。人間は、その存在に対して何もできないのです。唯一の希望は、古代の魔術や呪文ですが、それも危険で不確かなものです。人間は、自分たちの知らない世界に挑戦することで、自分たちの運命を危うくするのです。

この本を読んで、私はとても恐ろしく感じました。ラブクラフトの描く怪物は、人間の想像力を超えるもので、その姿や行動が細かく描写されています。特に、怪物が村を破壊するシーンや、博士たちが怪物の正体を見るシーンは、衝撃的でした。私は、村人や博士たちの恐怖や絶望を共感することができました。また、この本は、人間の愚かさや傲慢さも描いています。ウェイトリー一家は、魔神との交信を試みることで、自分たちの力を増すことを望みましたが、その結果、自分たちの命や平和を失いました。人間は、自分たちの知らないことに手を出すことで、自分たちの幸せを損なうのです。

『ダンウィッチの怪』は、ラブクラフトの傑作のひとつで、ホラー小説が好きな人にもおすすめです。ただし、怖がりな人や気分が悪くなりやすい人は、注意して読んでください。

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