【読書感想文】ねずみたちの冒険に勇気と団結心を学ぶ『ピーターラビットシリーズ ⑦ ２匹の悪いねずみのおはなし』

子どもたちに長らく愛されてきた本書。その魔法の世界観は、私の心にも響きました。

赤いレンガでつくられた美しい人形の家に、ルシンダとジェイン夫妻が住んでいました。ところが、ふたりが外出中に、２匹のねずみ、トム・サムとハンカ・マンカが家に忍び込みます。彼らはごちそうを探しますが、驚くべきことに、それらは全て作り物で食べられないのです。怒ったねずみたちは、家中を荒らし回り、ゆりかごや食器を持ち去ってしまいました。

この物語は、欲望と現実のギャップを描いています。ねずみたちは食べ物を求めて家に入りましたが、その期待は裏切られてしまう有様です。作り物のごちそうは、理想と現実のズレを表しているのかもしれません。このテーマは、子どもにも大人にも響くはずです。私たちが日常で直面する現実との対話を促してくれるからです。

本作の魅力は、ユーモアと深い教訓が共存していることにあります。ねずみたちの一生懸命な様子は笑えますが、同時に「本物」の価値を再考させられます。緻密なイラストも物語をより魅力的にしてくれています。ベアトリクス・ポターの筆致には惚れ惚れします。

この物語を読んで、私は子ども時代の純粋な驚きを思い出しました。ねずみたちの冒険は勇気を与え、現実の制約にも立ち向かう力を養ってくれるのです。特に、トム・サムとハンカ・マンカの団結心と勇気には感銘を受けました。

ピーターラビットシリーズの一編である本作は、心温まる物語だと言えましょう。多くの人に喜びと感動を届けてくれるはずです。