【読書感想文】社会の枠を超えて、真の自由を求めて『ハックルベリー・フィンの冒険(上) (光文社古典新訳文庫) Kindle版』
自由と冒険、そして成長の旅を描いた少年の冒語物語。アメリカの児童文学の古典としても広く知られている一冊です。
本作は、「トム・ソーヤーの冒険」の続編にあたり、ハックルベリー・フィンが盗賊から奪った金貨を手に入れたことから始まります。ハックはダグラス夫人の養子となり、彼女の屋敷で新しい生活を送ることになりました。しかし、ハックは礼儀正しい生活に馴染めず、自由を求めて逃亡を決意。そして、途中で黒人奴隷のジムと出会い、二人はミシシッピ川を下る大冒険に乗り出します。
私は、本作のテーマは「人間の自由」だと考えました。ハックは社会の規範から逃れ、自分なりの価値観を見つけようと奮起します。そして、冒険の中でジムとの友情をはぐくみ、人種や身分を超えた深い絆を育くんでいくのです。私はここに、当時のアメリカ社会における人種差別と階級制度に対する作者の批判のメッセージを感じました。
本作の見どころは、ハックの内面の葛藤と成長の過程です。とりわけ、ジムを助ける決断を下すシーンでは、ハックの道徳的な成熟が伺え、心に残りました。彼の行動は、当時の社会の価値観に挑戦し、真の人間性を追求する姿勢を示しているようにも思います。
総評として、本書は、単なる少年の冒険譚ではなく、社会の不条理に立ち向かう一人の少年の成長物語と言えます。トウェイン独特のユーモアと、ハックとジムの心温まる友情が見事に絡み合い、充実した読後感を味わうことができました。
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