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【読書感想文】サルナスの栄華とイブの悲劇、水蜥蜴の神ボクラグの復讐劇『ラヴクラフト全集 7 Kindle版』

本書収録作より、水蜥蜴の神話と人間の滅亡を描いた『サルナスの滅亡』を紹介。

物語は、ムナールという湖とその周辺地域。かの地ムナールには、古代から水蜥蜴のような生き物が住んでおり、彼らはイブという石の都市を築き、ボクラグという神を信仰していました。しかし、人間がムナールにやってきて、サルナスという都市を建てると、サルナスの人々はイブの住民を敵視し、戦争を仕掛けて滅ぼしました。その際、ボクラグの像はサルナスに持ち去られましたが、やがて行方不明になります。サルナスは栄華を極めましたが、千年後の祭りの夜に、恐ろしいことが起こりました。ボクラグの呪いがサルナスに降りかかり、人々は全て水蜥蜴に変わってしまったのです。かくしてサルナスは水に沈み、イブの住民は再びムナールを支配しました。

本作のテーマは、人間の驕りと神の怒りです。人間は自分たちの文明や力に自信を持ち、イブの住民を殺し、ボクラグの像を奪うなど、他の種族や神を軽視しました。しかし、人間たちはボクラグの神の存在や力を忘れていました。ボクラグは千年の時を待ち、復讐を遂げ、人間は自分たちの姿を失い、サルナスは水に沈んだのです。この物語は、人間の驕りが神の怒りを招くという、古典的なテーマを描いています。

この本を読んで、私はとても恐怖と興奮を感じました。ラブクラフトの作品は、不気味な神話や怪物が登場することで有名ですが、この本は特にその雰囲気が強かったです。ムナールの湖やイブの都市、ボクラグの像など、独特の世界観も魅力的でした。特に、最後のサルナスの滅亡の描写は圧巻で、人間が水蜥蜴に変わる様子や、サルナスが水に沈む様子は、想像力をかきたてられました。この本は、人間の驕りと神の怒りというテーマを、見事に表現した作品だと思いました。

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