見出し画像

【読書感想文】一筋縄ではいかない謎、真相は最後まで見えず『アクロイド殺し』

アガサ・クリスティの名作「オリエント急行殺人事件」や「そして誰もいなくなった」に続く、その筆致の鮮烈さを再確認させられる作品が「アクロイド殺し」です。この作品は、名探偵エルキュール・ポアロが登場するシリーズの中でも特に評価が高い第3作目として知られています。

物語は、イギリスの田舎町キングス・アボットでの一件から始まります。町の住人であるフェラーズ夫人が突如として死体で発見されるという事件が発生。初めは自殺と思われていたこの事件ですが、彼女の婚約者である富豪ロジャー・アクロイド氏からの衝撃的な告白により、事態は一変。彼女が1年前に夫を毒殺したという事実が明らかになり、事件は殺人事件へと変わっていきます。

この事件の捜査を依頼されたのは、もちろん名探偵ポアロ。しかし、今回の事件では彼の長年の相棒ヘイスティングが不在。そのため、ポアロは事件の初動捜査を行ったジェームズ医師と共に捜査を進めることになります。

キングス・アボットは一見すると平和な田舎町ですが、事件の背後には複雑な人間関係や秘密が隠されています。ポアロがリストアップした容疑者たちは、一見すると普通の町の住人たち。しかし、彼らの中には様々な動機や背景を持つ者たちがおり、それぞれが事件にどのように関与しているのかは一筋縄ではいきません。

クリスティは、彼女特有の巧妙なプロットと驚きのトリックで、読者を最後までハラハラさせます。私自身も犯人を予想しながら読み進めましたが、その結末はまさに予想外。クリスティの筆致の鮮烈さと、彼女が持つ叙述トリックの巧妙さを改めて感じさせられる作品で、ミステリー好きには絶対に読んで欲しい一冊です。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?