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【読書感想文】日常が一変する瞬間、あなたは何を信じる?『記憶の森の魔女』

日常に潜む不思議と恐怖を巧みに描き出した短編です。

華子は学校の帰り道、森を通り過ぎて帰宅しようとしていましたが、いつもあるはずの自宅が忽然と姿を消していることに気づきました。途方に暮れた彼女は、お巡りさんに保護されますが、連れて行かれた先は見知らぬ家。そこにはクミコという女性が住んでおり、華子は自分の家に戻りたい一心でクミコのもとから逃げ出します。しかし、逃げ出した先で待ち受けていたのはさらなる謎と恐怖でした。

この物語の魅力は、現実と非現実の境界が曖昧になる瞬間にあります。華子が体験する不思議な出来事は、まるで夢の中にいるかのようで、「これは本当に起こり得るのか?」という疑問を抱かせるのです。

物語の終盤にかけて、華子が自分の家に戻るために奮闘することになります。彼女の不安や恐怖、そして希望が交錯する中で、物語は意外な展開を見せます。怖い話かと思いきや、実はそうではないという結末には、本当に驚かされました。

日常生活の中でふとした瞬間に感じる恐れや不安が、実は新たな希望と再生に繋がる可能性を秘めていることを、読後に痛感した一冊でした。

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