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【読書感想文】孤立艦隊の運命を握る、一世紀の眠りから覚めた英雄の物語『彷徨える艦隊 旗艦ドーントレス』

一世紀に渡りシンディックと戦ってきた同盟軍は大敗を喫した。今やその艦隊は足手まといになり、敵地で足止めを食らっている。同盟軍の唯一の希望は、一世紀に及ぶ冬眠で眠る伝説の提督、ブラック・ジャック・ギアリーに託された・・・というストーリーのミリタリーSFシリーズの第1弾です。

本書の主人公、ブラック・ジャック・ギアリーが目を覚ますと、そこには総力戦によって引き裂かれた銀河が広がっていた。同盟軍は敵対勢力のシンディックとの果てしない戦いを繰り広げていましたが、罠にはめられ、同盟軍の指揮官は全員殺され、残された艦長たちはゆっくりと、失われた艦隊の指揮を執るべき地位にある唯一の男がギアリー名誉提督であることに気づきます。周囲からの英雄崇拝に愕然としながらも、ギアリーは自分の義務を果たすことに。作者ジャック・キャンベルには、敵地に取り残された船団が戦いに立ち向かうという物語の本書で、銀河系全体を横断する旅に私たちを連れて行ってくれます。

プロットも、キャラクター設定も、シンプルでユーモアが光る作品でした。たとえば宇宙戦。もともと私はミリタリーSFをそんなには読まないのですが、たまには宇宙戦もいいですね。本書の宇宙戦は、複雑な戦術や艦隊の操縦を見事に描写しており、非常にサスペンスに満ちていて、スター・ウォーズで描かれたものよりも魅力的に思えました。ただこのシリーズの最大の弱点は、その設定です。単体で見ると、スターウォーズやデューン、ハイペリオンなどと比べると、どうしてみ見劣りしてしまう部分があります。2つの対立する派閥のどちらにも深みがなく、どの惑星も魅力的ではありません。とはいえ、このシリーズには可能性があり、キャンベルはそれをどんどん利用していくのですが、序盤のうちはこの設定ゆえに驚くほど面白くないのが難点です。

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