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【読書感想文】モビー・ディック追跡!エイハブ船長の復讐心と狂気を体験せよ!『白鯨(上) Kindle版』

文豪メルヴィルの「白鯨」は、19世紀アメリカが舞台。主人公のイシュメールは、捕鯨船ピクォード号に乗って、白い巨大な鯨モビー・ディックを追う船長エイハブと出会います。エイハブはモビー・ディックに足を食いちぎられた過去があって、白鯨を仕留めようと復讐心に燃えています。とはいえモビー・ディックはそう簡単には捕まらない鯨で、イシュメールを始めとする船員たちは、エイハブ船長の復習劇というドキドキの冒険に巻き込まれることになります。本書「白鯨」の上巻では、イシュメールの乗船やエイハブの登場、モビー・ディックの噂までが描かれています。

この本のテーマとおすすめポイントを一つ挙げると、それは「人間と自然の闘い」。人間の文明と自然の狂気が対象的に描かれています。本書のモビー・ディックはただの鯨ではなく、人間の理性や道徳を超えた存在でもあるのです。そんなモビー・ディックに対して、エイハブ船長は、憎しみや執着だけではなく、畏敬の念も抱いているところが、物語に深みを与えているのだと私は感じました。

この本を読んで、私はまず文体に感動しました。詩的でリズミカル、時にユーモラスで哲学的で、読んでいて全く飽きがきません。また、イシュメールは冒険好きで好奇心旺盛な青年、エイハブはモビー・ディックに執念と狂気を持った船長。他にもポリネシア人のクイーククエグやエイハブの部下スターバックやスタッブなど、個性的なキャラクター達も物語を彩ります。

本書は、白鯨モビーディックに対するエイハブ船長の復習とも尊敬ともとれる並々ならぬ思いを通して、人間の本質や自然の神秘に迫る物語。読むのに時間や労力はかかるけど、読む人によって色々な解釈が生まれる不思議な読後感があります。冒険小説が好きな人、人間と自然の関係に興味がある人や、深いテーマに挑戦したい人、美しい文体に酔いしれたい人に特におすすめです。

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