見出し画像

【読書感想文】愛と利害が交差する、経済ファンタジーの新境地『狼と香辛料III (電撃文庫)』

行商人ロレンスと狼神ホロの旅を描いた物語の第三弾です。本巻では、冬の大市で賑わうクメルスンの町が舞台。若い魚商人アマーティが登場し、ホロへの感情が揺れ動くロレンスの姿が鮮明に描かれています。

見どころは、ロレンスとホロの間に生じる心理的な葛藤と、それによって引き起こされる一連の出来事です。特に、アマーティがホロに対して抱く好意と、それに対するロレンスの嫉妬や不安など、目の離せない展開が続きます。

読んでの感想としては、ロレンスとホロの関係性の変化を通じて、信頼と裏切り、愛情と利害の間で揺れる人間の複雑な感情がリアルに描かれていたのが印象的でした。ロレンスがホロへの愛情を抱えつつも、商人としての冷静さを保とうとする姿勢や、ホロが自分の存在意義を模索する過程もよかったです。

物語の中で展開される商取引の駆け引きや、人物たちの心理描写は本作でも健在で、続きが待ち遠しいと感じました。

この記事が参加している募集

#読書感想文

191,896件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?