【読書感想文】科学的アプローチで解き明かす真実『歌う白骨』
法医学博士ソーンダイクが科学捜査を駆使して謎を解く、倒叙推理小説の代表作。
物語の舞台は霧深い洋上の孤立した灯台で、そこで働く灯台守が突然失踪します。やがて彼の死体が発見され、法医学博士ソーンダイクが事件の解明に挑むことになります。ソーンダイクは小型トランクに収められた科学捜査の道具を駆使し、犯人が綿密に計画した完全犯罪のほころびを見つけ出します。物語の前半で犯人が明かされる倒叙形式を採用しているため、犯人がどのようにして完全犯罪を計画し、それがどのように崩れていくのかを詳細に観察できます。
そんな本書の見どころは、精緻な科学的捜査とその過程。ソーンダイク博士は徹底した科学的アプローチで証拠を集め、分析し、犯人の計画を一つずつ崩していきます。この過程が非常に緻密であり、読者はまるで自分が捜査に参加しているかのような感覚を味わうことができます。例えば、灯台守の死因を解明するために現場の環境や死体の状態を詳しく観察し、そこから導き出される結論は、科学的な知識と洞察力が結集されたものです。
また、物語の後半において、犯人がどのようにして完全犯罪を計画し、それがどのように破綻していくのかを描く部分は、緊張感と興奮がありました。犯人の計画が明らかになるにつれて、その巧妙さに驚かされる一方で、ソーンダイク博士の冷静な分析と論理的な推理が犯人の計画を次第に崩していく様子は圧巻でした。
本書を読んで感じたことは、科学捜査の重要性とその力強さです。ソーンダイク博士のような人物が捜査にあたることで、どんなに巧妙な犯罪も決して完全ではないのだと痛感した次第です。
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