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【読書感想文】DNAが暴く衝撃の真実。自分は本当に自分なのか『プラチナデータ』

国民のDNA情報が管理され、犯罪捜査に使われるようになった近未来の日本。ある日、DNA捜査システムの開発者である天才数学者の蓼科早樹とその兄が殺されます。犯人として指名されたのは、特殊解析研究所の主任である神楽龍平という人物でした。神楽は無実を証明するために逃亡し、真相を探ります。真相に近づく中、神楽は自分の正体と、蓼科兄妹の殺害の陰謀に気づいていくことになります。

本書のテーマは、人間のアイデンティティと自由です。DNAが人間の性格や運命を決めることができるのか。DNA捜査システムが人間の個人情報やプライバシーを侵害することにならないのか。神楽は自分のDNAに隠された秘密を知り、自分の存在意義や人生の選択について苦悩します。一方で、神楽は、DNA捜査システムを利用して人間の自由や権利を奪おうとする悪意の存在にも直面します。この本は、科学技術の発展と人間の尊厳の間の問題をスリリングなストーリーで描きます。

この本のテーマは、人間の自由と選択だと思います。DNA捜査システムは、犯罪の防止や解決に役立つ一方で、個人のプライバシーや人権を侵害する可能性もあります。この本では、神楽をはじめとする登場人物たちが、自分の意志や感情とDNAの情報との間で葛藤や苦悩を抱えます。そして、最後には、自分の選択で人生を切り開くことを決意します。このように、この本は、人間の自由と選択の尊さと重さを問いかける作品だと言えます。

私は本書を読んで、神楽の苦悩や孤独、そして信念に共感しました。神楽は自分の遺伝子情報が犯人と一致したことで自分のアイデンティティを失いかけますが、自分が犯人ではないと信じて真相を追います。自分の遺伝子情報に人生を左右されず自分の意志で生きることを決めた、神楽の成長と決断には胸のすく思いがしました。

総評として、この本は、登場人物たちの葛藤や苦悩、人間の自由と選択のテーマ、スリリングな展開と驚愕の結末など、読み応えのあるDNA捜査システムを巡るサスペンス・ミステリーです。近未来の社会に興味がある人、人間の自由と選択について考えたい人にお勧めです。

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