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【読書感想文】炎の中で試される友情と愛『火狩りの王 〈三〉牙ノ火 (角川文庫)』

火を操る能力を持つ人々が、神族や魔族との戦いに巻き込まれる物語の第3弾。主人公の灯子は、炎魔と呼ばれる魔族の侵攻に立ち向かうため、仲間たちとともに首都を守ります。一方、灯子の幼なじみである明楽は、神族の神宮に向かい、亡き兄の願いを果たそうとします。そして、灯子の兄である煌四は、自らが開発した武器で、〈蜘蛛〉と呼ばれる神族の刺客に対抗します。三人の運命は、千年に一度現れる彗星〈揺るる火〉の到来とともに、大きく動き出すのです。
 
この本のおすすめポイントは、火の力に関する設定の奥深さと、登場人物たちの成長です。火の力には、天然の火、炎魔の火、雷火、揺るる火などさまざまで、それぞれに特徴や効果があり、物語の展開にも影響します。火の力は、人間の生活や文化に欠かせませんが、同時に危険で恐ろしいものでもあります。人間は、火をどう扱うかによって、自分の運命を左右することになります。

そんな世界でもひたむきに生きる登場人物たちですが、彼らは火の力にゆえに試練や危機に直面し、それを乗り越えて、強く優しくなっていきます。特に、煌四は、自分の作った武器が〈蜘蛛〉に悪用されることに苦悩しますが、自分の信念を貫いて、戦いに挑みます。また灯子と綺羅の関係も、火のように熱くて切ないものです。二人の友情や愛情が試される様子には、胸が締め付けられます。灯子の最後の決断は、私にも感動と敬意を与えてくれました。

この本は、火の物語としても、人間の物語としても、素晴らしい作品だと思います。火狩りの王シリーズのファンはもちろん、火に興味のある方にもおすすめです。この本を読んで、火の持つ意味や価値について考えてみてください。この本は、私の読書体験の中でも、忘れられない一冊になりました。


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