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【読書感想文】神秘の国カダスへの旅路、その果てに待つ真実『未知なるカダスに夢を求めて ラブクラフト傑作集 Kindle版』

「未知なるカダスに夢を求めて」は、神秘的な夢の国「未知なるカダス」を目指すランドルフ・カーターの奇妙な旅を描いた作品です。

カーターは、幻想的な地名を経由しながら、最終的にはカダスへと向かいます。しかし、この旅は万物の総帥アザトースの代行者である暗黒の大使ニャルラトホテプによって阻まれます。ニャルラトホテプはムーンビーストやシャンタク鳥を使役し、カーターの前に立ちはだかります。カーターは、ウルタールの猫や夜鬼、屍食鬼、そしてノーデンスたちを駆使してそれに対抗するのですが・・・。

この物語のテーマは、知識と理解を超えた未知への探求と、その過程での自我の確立です。カーターの旅は、単なる地理的な移動ではなく、内面世界への深い潜行を象徴しているかのよう。彼が直面する困難は、人間の心理や存在の謎に対するメタファーとして機能しているように私は感じました。

総評として、本作は、ラブクラフト独特の文体と難解な語彙を駆使した、恐怖と畏敬の念を同時に呼び起こす作品でした。ラブクラフトの世界観に浸りながら、現実と虚構の境界線が曖昧になる感覚は、まさにこの作品ならではの魅力と言えます。

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