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大きな食パンに思う

最近よく買うのが、激安スーパーの3斤の食パンである。税抜184円という衝撃価格にもかかわらず、ほんのりとした甘みが感じられ、ふんわりとした食感で美味だ。食べざかりの中高生男子を持つ我が家にとって、ありがたい食材である。

これを買ってきたら、普通の食パンと同じようにカットしてトーストして食べるのが常であるが、たまに分厚く切って贅沢するのもよい。

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思い切ってこーんな厚さにカットしたら…

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ナナメに切込みを入れ…

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バターとシナモンシュガー、さらにハチミツなんかも豪快にのっけて…

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トーストすれば、悪魔の食べ物に変身する。バターしゅみしゅみ、甘くてサクッと。
旨いよ~\(^o^)/

この大きな食パンに惹かれるのは、うまくて安いのももちろんであるが、私が幼い頃のアルバムに収められている1枚の写真の影響もあると思っている。

私がたぶん1歳になるかならないかくらいの写真だ。父はまだ20代だった。食欲旺盛な父のために、母はカットされないままの3斤の食パンを買っていたのだそうだ。
その食パンを見て、父はあるいたずらを思いつく。
食パンをまるごと幼い我が子に渡してみたら、どんな反応をするのか?

袋ごと大きな食パンを渡された幼い私は、まず入念に調べ始める。パンだ。やわらかい。おいしそうだな。食べたいな。袋に噛みついてみる。食べられない。袋を引っ張ってみる。開かない。私はとうとう泣き出してしまう。父は袋からパンを取り出し、私に与える。

その一連の格闘ぶりが「〇〇(私の名)、カクタタカエリ」とのキャプション付きでアルバムに収められている。そして、最後の1枚は、アルバムの1ページを埋める大きなサイズに拡大されて、貼られている。

大きな写真の中の私は、嬉しそうに体よりも大きなパンにかぶりついている。なんとも愛らしい表情だ。手元に写真がないので、記憶を頼りに再現図を描いてみた。

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幼い頃は、このアルバムを大笑いして見ていたものだ。

しかし、子供が生まれてからは、この写真をせっせと撮影し、最後の1枚をわざわざ大きく引き伸ばして、丁寧にアルバムに貼りつけて、「〇〇、カクタタカエリ」と添えた父の気持ちがわかるような気がする。

父は、大きな幸せを感じていたのではなかったか。
幼い子の仕草のひとつひとつが愛おしかったのではなかったか。


私も、2人の子どもが赤ちゃんの頃、袋ごとの大きな食パンを渡して写真を撮った。2人とも途中で泣き出し、袋から出してやるとかぶりついた。
その写真を、父に送った。あまり反応はなかったが、たぶん、ニンマリとしていたのではないだろうか。

大きな食パンを見ると、父を思う。





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