絶望を支えてくれた Dawn / Aimer
夜明け。暗い世界が終わる、そんな瞬間に寄り添ってくれるアルバムを問われたら間違いなくAimerのDawnの名を挙げる。
夜明けに導く光に包まれたような曲たちは、私の背中を押してくれた。
1つの物語の終焉と夜明けの新しい物語。
アルバムの深堀は初の文章で、とても楽しみだ。では、本日はDawnを語っていく。
寄り添ってくれた時期
2021年。専門学生だった私は、卒業後に個人事業主として生きていけるのか不安な日々を送っていた。
何故か、寝てしまうと将来失敗してしまいそうで、1秒1秒を失うのが怖かったのだ。
平日は眠い目を擦りながら、映像制作やYouTubeの編集代行の仕事をやり、朝を迎えることが多く、無理して徹夜した朝。
毎日聴いていたのが、このアルバム。
幻想的な湖畔
中高は、Sleepless night 、ミニアルバムのAfter dark や Midnight Sunなどを中心に好んで聴いていた。
部活で忙しく、昼間も学校で帰りも友人と帰ったり、音楽を聴くのは夜の時間帯が多かった、夜をテーマにしたこの3枚とも共に過ごしている。
正直な話、18歳までAimerで聴くアルバムは、この3枚とカバーアルバムの Bitter&Sweetぐらいだった。
Fate作品のタイアップやMVが好きだったONE、その他人気曲を繰り返し聞くことは多かったが、アルバムはデビューしてからの4作を繰り返し聴いている。
しかし専門学生で、徹夜で作業することが増える。
Bitter&Sweet以外の3枚は、夜に寄り添ってくれるアルバムで作業中聴くこともあった。
朝の5時頃、光が顔を出し始める時間。
AppleMusicの必聴アルバムに、日の出と山のリフレクション。そして、透き通った湖畔に線路が浮かんでいる情景のジャケットを見つける。
幻想的な湖畔は、これまでのデザインにはなかった朝の世界。
まさに夜明け
私の好きなイントロのトップ3に入っているBelieve:Be:Leaveという楽曲は、体力を削りメンタルも消耗し、ただ苦しかった専門学生時代に大きな希望を与えてくれた。
Aimerのアルバムで何度も用いてきた1曲目のOPから2曲目への美しい流れ。
このDAWNの1曲目は、Moon River。
部屋にポスターを貼っているオードリーヘップバーン主演の『 ティファニーで朝食を』の楽曲。オードリー自身が歌ったことにより有名になったこの曲は、ピアノの音と落ち着いたAimerさんの歌声から始まる。
そして、Believe:Be:Leaveの入り。
夜明けとはまさにこの事だ!!と言わんばかりのイントロのサウンド。美しい。あっという間に世界が明るくなってしまう眩しい朝日が共感覚で見える。DAWNのLivetourでもエレキの入りとともに壇上のカーテンが降り光が差し込む演出は、夜明けそのものを表している。
この曲に何度も出てくる、あの日のままで。という歌詞。過去の恋愛に未練を持ち、叫んでも届かない想い、変えられないBADEND。
歌詞は切ないが、今までのアルバムとは違ったコンセプトの今作に含まれているこの曲は、聴き終わった後切ない気分にはならない。
歌詞とは対照的に前を向けた気がするのだ。
BraveShineの存在
Aimerは音楽ナタリーのインタビューにこう答える。
このアルバムの背景には、BraveShineの存在があった。
彼女のアニメタイアップは、最近で言うと鬼滅の刃のイメージが強いと思うが、私はFateシリーズとガンダムUCの印象が強い。
VaundyもTOKYO HIGHWAY RADIOで、生きてきた中で思い浮かぶアーティストと楽曲を問われた時に、小学生の時に聞いていたガンダムUCの映画の劇中歌(RE:I AM)をこたえていた。
今回のアルバムに収録されているBrave Shineは、「Fate/stay night [Unlimited Blade Works]」のオープニングテーマになっている楽曲。
Aimer自身が当時経験した挫折を元に書いた曲。それを乗り越えたからこそ、かつての歌詞が書ける。
彼女にとっての挫折という夜が明けたのだ。
「夜明け前が一番暗い」
辛いことがあっても、必ず光差す朝は来るから。
Aimerの夜はこれからも
眠れない夜の物語、最終章が一つ終わったが、Aimerがインタビューで答えたように私たちにはまた夜がやってくる。
挫折をした一番暗い夜を乗り越え、光が差しても。また人生には壁が立ちはだかる。しかし、一度乗り越えて夜明けを知った人間は必ずまた乗り越えられるだろう。
このアルバムの楽曲に触れた私は、前向きにそう思える。
Aimerが暗い夜を超えたよう、みんなも必ず乗り越えられる。
光差す未来まで、もう少し。必ず夜は明ける。
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