コロナ後の経済像が見えてきた

いつの時代も(特殊な時代は除き)人類は、より便利なものを生み出してきた。それは経済不況や戦乱を通して、サバイブするために、様々な便利なものを生み出して活用し社会に根付いていた歴史がある。

田園調布や芦屋の大きな宅地の住宅が人気がなくなって久しいらしい。
昔は、お手伝いさんが何人かいて、運転手がいて、控室があって、来客応接がいくつもあって、なんて今や昭和以前の、例えるなら華麗なる一族のドラマのような風景だ。
今の時代、資産家あるいは社会的地位が高くとも、そのような生活をしている人はほとんどいないだろう。それは、昔より人件費が上がったから、と、昔は人が手間をかけて行っていた様々なことが、便利なサービスで代替できるようになったからだ。従って、無用に大きなお屋敷は維持管理の負の側面が残り、昔のような人気はなくなり過去のライフスタイルに追いやられる。

今、オフィスに既に変化が訪れているらしい。テレワークを実践すると、試行錯誤中とは言えど、会社は少なくともオフィスの固定費は下げられることに気付いた。不景気到来の中、真っ先にどこの会社でも考えるのは、オフィスを大幅縮小。テレワークの形をうまく取り入れれば、半分のスペースで済むから単純に事務所家賃を半減できる計算になる。1000人規模のオフィスならば500人のオフィスに移り、500人の会社は250人の会社に移り、250人の会社は120人に移り。。。と連鎖して移転ブームが既に起こっていて不動産仲介業はサイズダウン移転の案件が活況らしい。

不景気等、危機的な状況になると、人間て生存するためにいろいろ努力するようになり、それが社会ムーブメントとなり世間で普及モードになったときに、新しい社会の在り方として定着する、そのプロセスを今我々は目の当たりにしている。そして、我々はみな傍観者ではなく、その渦中にいる当事者なのだ。
実は何年も前から技術的に経済的に論理的には実は実現できていたはずのものなのだけれど、それでも人間の慣習変わらなかった。ところが危機を迎えるとこれが習慣を変えるきっかけになり、社会実装のきっかけになる。様々な発明、今当たり前にしていることも、危機を切り抜けるために発明されたものや風習が起源であることも少なくない。

今回のコロナ不景気の先にあるものがはっきり見えてきた。
「対面・集団からリモート」、「リアルからバーチャル」、「マスからミクロ」。全てに関係するキーテクノロジーは、デジタル化。そして変革されるメインフィールドは「オフィス業務環境」。

さて、デジタル化の本質は、目的を達成するための手段として使った場合、目的効果を得るための価格が下がり効率が良くなる効果がある。しかしその一方で、その目的効果を得るために必要であったプロセスにある産業の経済規模を小さくしたり不要にしてしまったりすることにある。中間の手間賃をカットして根元の生産者と消費者エンドが恩恵を得るのである。
対面や集団からリモートになることで移動コストやスペースがコストダウンされ、マスからミクロになることで金額が下がり無駄がなくなる、リアルからバーチャルになることで中間手数料が減る。

オフィス業務のプロセスにある産業のうちリアルで大げさだったものが、少ないリソースで同等あるいはそれ以上の効果を得られるようになるのが今回のコロナ不景気後の経済の本質だ。そしてそれは、今回のコロナ経済不況場合、主にオフィス業務活動を中心に業務遂行にあるプロセス活動がダウンサイズの方向で変化が起こる。

ちょうど、昭和以前の大邸宅で、お手伝いさんと運転手ら何人もにお願いしていたことが、自分でアプリを使えばかなりのことが圧倒的に少ない手数料で代替してくれるようになったのと同じように。結果、家も大げさでなくとも十分便利さは満喫できるライフスタイルに変わってきているのと似た社会経済構造になるだろう。

こうなると、プロセスを手掛ける事業者は、会社の規模が小さいほうが有利になる。置き換える相手は大所帯高価格なものだからで、ビジネス的コスト構造で対処ができなくなるからである。戦艦による大量の艦砲射撃よりも、航空機あるいはミサイル数本によるピンポイント攻撃の方のほうが目的に対して低コストで効率が良い。
理屈としては既に言われているような業界、とりあえず旧い体制が支持されてなんとかなっていたようなプロセス業界は、コロナ経済の後には消滅しているかもしれない。
大きな所帯は大邸宅のお手伝い・運転手付きになり、大きなオフィスであることは旧時代的でナンセンスになるだろう。(もうなっているかもしれない)
あと、デジタルツールについても。プラットフォーマーを目指すと唄いながらも高価格のサブスクリプション料金を設定するようなデジタルサービスは、コロナ不景気を通して、ほぼ無料か廉価のものに淘汰され置き換えられるだろう。高いものよりも安いものの方が、参加者が多い故、サービスの質や得られる効果の品質も高くなる可能性が高いからだ。デジタルツールは、安いほうが良いもので、高いものは(ユーザーが広がらないので)限界が来る。コロナ不景気の時代は、顧客はより精査してより効果が期待でき且つ低単価ツールを選択するからだ。コロナ前に設計したビジネスモデル前提にしたクラウドサービスは淘汰されるだろう。
そしてデジタルツールの戦いは、グローバル市場対応しているサービス提供会社が必ず勝つことになる。なぜならばスケールメリットが生き、サービスに対するコストが安くなるからである。

人件費をかけ大人数を雇用している大きなプロセス会社ほど、少ない手数料や価格のサービスに置き換えられ、大量失業の時代がやってくるだろう。もうそれを予見し長期的視野で採用計画を大幅削減を宣言した業界もある。

私は、次の時代を見据えたときに、手掛けている事業が良ければいいという考えは、不十分であると考える。自分や自分の会社あるいはその社員だけが勝ち組であればよいのではない。それではエゴだ。大量失業者を受け入れるだけの余力がある、次の時代の事業をつくらなければならない。

リンクインサイトも、コロナ前のビジネスモデルのままでよい部分と、現状のサービスを更に時代の変化に適合させるために、修正や追加が必要になる部分も出てきている。

次の時代を創るプロセス、日々やらなければならないことが多いが、楽しくてしょうがない。



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