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鳥類研究所

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鳥の生物学、特に鳥の行動について学びます。
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2022年1月の記事一覧

地磁気の水平の傾きを感知して渡りの到着地を知る渡り鳥

ヨーロッパヨシキリAcrocephalus scirpaceusは、ヨーロッパから西アジアで繁殖し、7000km以上離れたアフリカのサハラ砂漠以南で越冬するために、渡りをしている。サハラ砂漠上空では、6kmの高さを飛行するという。ヨーロッパヨシキリは、渡りの時、地磁気の水平の傾き(伏角)を感じて、ヨーロッパの繁殖地に到達したと判断しているようだ。 渡り鳥は、視覚、嗅覚、磁場、あるいは星などを利用している。そのうち、磁場を地図として利用する渡り鳥の問題の1つは、その強度と方向

何十万年もの間、同じ鳥の歌が歌い継がれる

東アフリカのミナミゴシキヨウチョウ(Cinnyris Fuelleborni, East African double-collared sunbirds)。 こうした鳥の仲間はふつう場所によって歌が大きく変化します。 ところが、タンザニアのイココトとモザンビークのナムリの個体群のCinnyris Fuelleborniの歌は、数百キロメートル離れているにもかかわらず、ほとんど同じです。それは姿も、歌も同じです。この地域は地殻が安定していて、それぞれの個体群は、数十万年の

ルソンの鳩

この鳩は撃たれて怪我をしているのではないです。 ルソンヒムネバトLuzon bleeding-heartといいます。 今、話題になっている鳩のガイドブックから。 ヒムネバト 他の出血している心臓の鳩のように、この種はそれが心臓を通して撃たれたように見えます(そしてあなたは責任があるでしょう)。しかし、その赤いパッチは、血ではなく羽でできています。フィリピン原産のルソン島のヒムネバトは恥ずかしがり屋で、野生では見つけるのが難しいです。ヒムネバトはすべて絶滅の危機に瀕してい

鳥の嗅覚

鳥は、紫外線が見えたり、磁場を感じたり、あるいはトウガラシの辛味を 感じなかったり、世界をヒトとは違うように感じています。 でも、嗅覚については、あまり発達してないのだろうと考えられてきました。一般に鳥の嗅球は小さいようです。 ところが、ハゲタカやヒメコンドル(turkey vulture, Cathartes aura)といった巨大な猛禽類の仲間では、かなり大きな嗅球が見られ、臭覚を利用しているようです。実際に、ハゲタカの場合は腐った肉、ワタリアホウドリ海面のプランクト

Tabula Gallusへの道

2022年1月にIJMS誌に発表した総説「Towards Tabula Gallus」の日本語翻訳です。DeepLを用いたのち、手動で修正しましたので、不完全な箇所が沢山あります。 Towards Tabula Gallus Masahito Yamagata Int. J. Mol. Sci. 2022, 23(2), 613 © 2022 by the author. Licensee MDPI, Basel, Switzerland. This article is