星月夜   2021/7/25

電子たばこは吸わない
だっていつか無人島に行くから
そのとき困るでしょ
だから今も紙たばこを吸う

エレキギターは弾かない
だっていつか無人島に行くから
そのとき困るでしょ
だからいつもアコースティックギターを弾く

目覚まし時計は使わない
だっていつか無人島に住むから
そのときにはもう要らないでしょ
だから毎日好きな時間に起きる

いつか行く気がする
無人島に
いつか来る気がする
起きたらそこは無人島だったという朝が

そうなったらおもしろい
まずは自分でギターを作ろう
木をくりぬいて弦を張り
海を見ながらポロポロ弾こう

夕暮れには詩を作ろう
詩を口ずさみつつたばこを吸えば
煙は目にしみ心にしみて
やがて涙に変わるだろう

朝陽で起きて
夕陽で眠る
でも星月夜には
夜ふかししよう

ほうき星にまたがって
星をくまなくめぐるんだ
もしかしたら彼女にも
ひさしぶりに会えるだろうか

名前もない
住所もない
携帯も
言わずもがな、恋愛も

いつか行く
そんな無人島に
いつか来る
そんな日が

いや、もうすでに来ている?

星月夜
誰もいない部屋
詩を口ずさみつつたばこを吸えば
煙がやけに目にしみる…

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