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黒いケーキ   2022/4/14

部屋にひとり座る
白い壁に囲まれて

家具が少ないので
壁ばっかりが目立って見える

これはもう
部屋というより箱だな
六面体の白い空き箱

とすると僕は何だろう
もしかするとケーキだろうか

みんなが食べ終えた後
ひとつだけ残って
また箱にしまわれた

なるほど
言われてみればそうかもしれぬ

ってそんなわきゃないでしょう
こんな僕がケーキだなんて

イチゴもなきゃクリもなきゃ
黒い髪に黒いジャージで

こんなケーキ見たことない
こんなケーキ食べたくない

だからひとつ残ったんだよ
誰からも見向きもされず
みんなから忘れ去られて

ああ辛いつらい
いったい何で生きているんだ

世の中に孤独の形はいろいろあれど
孤独なケーキほど寂しいものがあろうか

負のイメージとは程遠い
華やかなケーキたる身が
今や余りものとなり
無聊をかこつ哀れさよ

我に何の価値やある
いずれは朽ちてごみと化す身か

それでも僕は待っている
いつか天井のふたが開く日を

誰かが上から手を差し伸べて
ここから出してくれる日を

全然パッとしないけど
賞味期限も過ぎたけど

こんな僕にもいつか来る
こんな箱から出るときが

そう信じてじっと待つ
天井の白をずっと見て

僕はケーキ

誰か黒いケーキ
いりませんか

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