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「キンモクセイが分からんねん」

キンモクセイの季節に「キンモクセイが分からん」、これはツラい。

コロナ明けの長女は嗅覚低下が続いている。続いていると言うべきか残ってると言うべきか。

「あ、ほら今。窓開けてるだけで。ふあぁー」

「私今分からんねん」


がーん

コロナ後においが分からないと言ってたのを知ってたのに、僕は悪気ないからこそ一番たちの悪い一言を…

この季節にキンモクセイが分からんというのは、クリスマスにマライア・キャリーが聴けない、早春にイルカが聴けない、夏にサザンが聴けない、それぐらいのことだ。

せめて嗅覚で例えて欲しい。



「キンモクセイが分からんねん」

長女はさほど寂しそうではなくただ今の自分の事実をこぼしただけだが、当たり前のようなことが当たり前でないことから、当たり前の有難さが浮き彫りにされた。