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平成最初と最後の夏。

中学に入る時に、「平成最初の入学生」と言われたので
私の平成最初の夏は12~13歳だったのだと思う。

平成最初の夏は放課後、教室でクラスメートと一緒に

ちぎり絵を作っていた。

一クラス40人で12クラスもあるという
団塊ジュニアだった私の世代は、
480人くらいの同窓生がいた。
それくらいの人数がいると必ず一クラスに4~5人はヤンキーがいて、

ヤンキーのオガちゃんは今どきいない、

スカート丈が長い方のヤンキーだった。

「なあ、東山魁夷っていぐ(良く)ねえ?
わ(私)、東山魁夷好きだんず。」

と、オガちゃんは青森県でもかなり訛りのきつい方言で
東山魁夷の美しさを語った。
ヤンキー専門誌の『ティーンズロード』と『日本絵画』を
同じレベルで評価できるのが、オガちゃんのすごいところだった。

その夏、クラス対抗で文化祭に出すちぎり絵は、
縦1メートル×横1メートルの大きいもので。
テーマはオガちゃん立っての希望で『厳島神社』の
水辺に浮かぶ赤い鳥居の風景だった。

美しくて、渋い。
美術部員だった私は彼女の願いを叶えるように、
ちぎり絵の紙にない色は、水彩絵の具を白い和紙に塗って、
それを乾かしてちぎり、水に映る鳥居を表現していった。

8人がかりで完成させたちぎり絵が
体育館に飾られた時、

そのあまりの美しさにみんな驚いた。

何より、テーマに水の風景を選んだオガちゃんの感性が素晴らしかった。

そして月日はめぐり、平成30年。
平成最後の夏……私は、家で縄文人と弥生人の、

BL小説を書いていたのである。
なぜ……なぜ、ボーイズ・ラブ?

なんで男同士の愛を小説で、しかも縄文人と弥生人という
異文化コミュニケーションで描かねばならなかったのか。
自分の運命の不思議を思う。

どんな夏も、夏は一生懸命汗をかくに決まっている。
北国の夏は短く、冬は一年の半分だ。
8月の末にはもう、秋の気配。
脳内を巡る、縄文人と弥生人の、BL小説。

一生懸命の方向を間違っているのではないかと心配する自分もいるが。
きっと私が生み出さなければこんな作品は、二度とこの世に現れない。
だから、いつか自分で創って感動した厳島神社の水辺の風景のように
その世界をこの手で、作り出す夏にしよう。

今日も空が青い。

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