閃光の光

気分で書きます。

閃光の光

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最近の記事

不正解

「来年の1月は実家に帰った方がいいよ」 ふと、仕事終わりに友達数人と呑むことがあった。 6人でお店に入ってしばらくお酒を呑みながら隣の女の子が鞄から巾着袋を取り出した。 「私、カードで占いができるんよ、1時間5000円貰ってる」 驚いた。まさかこんな身近に占い師がいたとは。 半信半疑のまま、女の子の目の前に座っていた男の子が占ってもらうことになった。カードが示す内容を聞いて頷いたり、頷かなかったりする男の子。 やっぱり占いってこんなもんだよなぁとか思っていたけど、せっかくだか

    • 君の幸せを願うように

      ここ数ヶ月、ずっと色の無い世界で生きていた感覚だった。 どこにいても、何をしてても気力が湧いてこない。 ありきたりな言葉だけどこの言葉がど真ん中ストレート165kg、大谷亮平もビックリするくらい鮮やかな三振。 それから少しづつ、本当に少しづつ世界に色が戻っていって、まだ褪せている部分の方が多いかも知れないけど、それはこの数ヶ月の生活で間違いなく落ちた視力のせいにしておこう。 あれから考えていたのはずっと一人の人のことで、たった一人の存在にこんなにも悶々もとして、悲しくなって、

      • 面倒くさい

        偏頭痛に悩まされる日々。 ひどい時は吐く寸前までいって、とりあえず睡眠導入剤を飲んでそそくさと寝る。 身体が導入剤に慣れ始めてまた寝付けなくなって、という悪循環である。 人生は幸と不幸がちょうど50:50になっているみたいな話を聞いたことがある。本当か?そろそろ幸せ、訪れてもいいんだぜ? 晩年になって溜まりに溜まった幸せがどっと押し寄せるみたいな人生のつくりになっているのなら、ちょっとそこまで耐え抜く気力はないかも知れない。 死にたい、と思うことはないけど日々の生活が面倒だと

        • 擬似的走馬灯

          ここ最近の忙しい日々に区切りがついた。 気が抜けたような、しばらく楽していたいような、寂しいような。 昨年の11月、とある先輩に声をかけられたのがきっかけだった。 「うち主演で、なんかおもろい話書いてえや」 唐突なような、散々聞いてきた言葉であるような。 色々な人から同じような声をかけられ、何度か脚本も書いたが、結局ちゃんと形になったのは一度きりだった。その一度きりは紛れもない、そのとある先輩だった。 その時はSNSでリモート映画祭なるものが流行っていて、自分たちもその流れに

          角刈り

          相席食堂を見ていたらランジャタイの伊藤さんが角刈りになっていた。ここ最近で一番笑った。 それはさておき、最近眠りが浅い。1時間おきに目が覚めてその度にいろんな夢を見る。 覚えているのは昔バイトをしていたつけ麺屋さんで働いていた夢。「写真と実物の麺の量が違う」とイチャモンをつけてきた男にとても食べられないであろうドゥルドゥルの麺を麺皿にぶちまけてやった。男は満足そうにズルズル食べ始めた。 すると違う席からまた声がした。注文した麺がまだ来ていないとの事だった。確かに出し忘れ

          命は等しいので

          また変な夢をみた。 現実では教習所を卒業して以来全くと言っていいほど運転していない車を慣れない捌き方でハンドルを握っていて、どこかのショッピングセンターの立体駐車場の中をぐるぐる回っていた。 常にアクセルのブレーキが分からず、ブレーキをかけないのにアクセルばかり踏んでしまい、後続車に結構な勢いでぶつかってしまったのだけど、気づかないふりをしてそのまま進んでいった。 すると窓を叩く姿があって、ワンダ(アベンジャーズシリーズの人体実験で魔法が使えるようになった女性。多分、最近アベ

          命は等しいので

          文明の遺産

          酔い潰れた次の日の朝、体に纏わりついた気持ち悪さをごっそり洗い流したくて全裸になった。冷えていく体を浴室へ滑り込ませて蛇口【赤】を捻る。早く〜早く〜と思いながら時折指先でシャワーヘッドの黒い穴から勢いよく噴射される水の温度を確かめる。確かめる。確かめる。 …おかしい。全然温かくならない。 浴室を出て給湯器を確認する。スイッチは入っている。温度も42度に設定してある。もう一度、浴室へ体を滑り込ませる。この時、足はもうキンキンに冷えていやがる。 温度を指先でチョンチョンと確かめ

          文明の遺産

          タイトルを記入してくださいだって、うるせえ

          時折、夢に母親が出てくる事がある。 目に見える姿で出てくることもあれば、夢のどこかに「母親」が存在している時もある。 形があってもなくても、夢が母親に支配されているときは息ができなくなって目が覚める。 最近出てきた時は沸々と怒りのようなものが湧いてきて、溢れないようにグッと息を堪えた。すると苦しくなって目が覚めた。最悪。 何を意味しているんだろう。 何故まだ苦しめられるんだろう 何故まだ僕の人生に影響しているのだろう。 血の繋がり? 争えないものと戦ってきた代償? 散々疲れた

          タイトルを記入してくださいだって、うるせえ

          ふと

          ふと、自分は恵まれた環境で生きているんだなあと思った。 物心ついた時には両親がいなく、祖母と姉の3人で団地住まい。それより後のことは割愛するけど、子供が健やかに育つ環境とは言い難い場所で生きて夢を見つけて、東京で生きている。 生まれて24年間の中で金銭的に裕福な時は無かったけど、いつも、誰かのおかげで少なからず心は裕福だったと思う。時折生きているのがしんどくなったりしてお風呂場で声を殺して涙を流したこともあったけど、そんな時もいつも誰かがそっと寄り添ってくれた。生きてこれた

          喘ぎ声

          2022年の初雪だった。 最初はすぐに止むだろうと思っていけど、時間を経つ後に降雪量が増え、夜になる頃には街一面が雪景色になっていた。 寒かった。その一言しかない。 雪が降ると思い出すことがいくつかある。 学生の頃に降り積もった時は中庭で雪合戦もした。でもその事より印象深く脳に刻まれているのは、スマホが胸ポケットから落ちて積もった雪に突き刺さった事だ。 終わった、と思った。 僕の通ってた学校は昼休み以外スマホを手に取るのは禁止で、使っているところを見つかれば一泊2日学校に

          にれいにはくしゅ、何とかかんとか

          多分、人生で初めて初詣をした。 家から歩いて10分かからない距離にある小さな神社に恋人と赴いた。先に参拝を終えたであろう二人組が鳥居を出切ったところで振り返り一礼をして帰って行ったので、僕達もそれにならって礼をして鳥居をくぐった。 道の真ん中は神様の通り道。 それくらいはなんとなく知っていたのでちゃんと端の方を歩く。手を繋ぎ並んで歩いていたのでほとんど真ん中に近かったが、神様もその辺りの事は目をつむってくれるだろう。 神様にお参りする前に手を洗わないといけないらしい。初

          にれいにはくしゅ、何とかかんとか

          殺してくれ

          元旦朝5時、友人から電話があった。 「今、渋谷で全身血だらけです」 流石に面白いより心配が勝った。聞くところによると、友人達と年越しライブ前に飲酒していて、途中から記憶がないらしい。救急車のお世話になった記憶だけを残して。 家に来たいと言ったので招いた。 ドアを開けると3万円のアウターを血だらけにして、瞼の上と耳が深々と傷ついた友人が立っていた。その時はもう心配よりも圧倒的に面白いが勝っていた。 大晦日に作ったぜんざいを二人で食べて温まり、酔った勢いでマッチングアプリを再

          殺してくれ

          ビビり

          ここ何年かの間で、昨年末が1番幸せだったと思う。恋人とデートをして、姉カップルとゲームをして、親友と世の中の話をして。 仕事は相変わらず進展がなかったけれど、それを抜きにしてとても幸せだった。 この幸せがずっと続けばいいのにと思った反面、この幸せが続くことを考えるととても怖くなった。何故怖くなった分からない。帰りの夜行バス、YouTubeを見る恋人の隣でマスクが涙で湿った。 自分の事をとても面倒臭い人間だと思う。 どういうところが面倒臭いかを説明するのがもう面倒臭い。つ

          voice-ing君の声-

          目を疑うというより、笑ってしまった。自分は表示された名前を見間違えるくらい心がおかしくなってしまったのかと。指紋認証でスマホのロックを解いてからLINEを開く。一番上に表示されているアカウントは変わらず彼女のもので、緑色の円の中に「1」という数字が唯一の違和感だった。何かのバグだと思って一度電源を落とす。電源を入れ直してからもう一度確認して、一通のボイスメッセージが本当に届いている事実を目の前にしてようやく声帯が震えた。 「なんで、」 トークを開くのが怖くて履歴を親指で少

          voice-ing君の声-

          voice-ex君の声-

          脇に置いていたスマホを手に取ってLINEを開く。トーク画面の一番上にいつも表示されているアカウントとのトーク履歴を開く。そこには他愛のないような会話と、毎晩23時に規則正しく送信されてきたボイスメッセージが残っていた。画面を適当にスクロールして、目に入ったボイスメッセージを再生する。 『えっと、11月7日の木曜日、今日も昨日と変わらず仕事を終わらせて、帰りにスーパーに寄って、あ、今日は君の好きなハンバーグを作ってみました。美味しそうに食べてたので朕は満足である。ふふ、あ、ち

          voice-ex君の声-

          voice-僕の声-

          ヨレたスーツを纏って扉を開ける。無機質な鉄の音が何もない部屋の中に響いて、それが僕にとっての「おかえり」になって経った時間はもう覚えてない。週末の終電に揉まれた体を揉みほぐしに行く気力も無く、疲れ切って上がらない腕をなんとか伸ばして冷蔵庫の中の発泡酒を手に取る。部屋の入って汗臭いスーツと靴下を脱ぎ捨ててベッドの上に胡座をかく。ベランダを開けて室外機の上に置いてある簡易灰皿の蓋を取る。いつのまにか吸い始めた煙草も今となっては2日に1箱は吸うようになってしまった。マルボロのメンソ

          voice-僕の声-