4月の推奨香木は徳用版シリーズNo.6 「中国から買い戻した上質緑油伽羅」!

香木資源の枯渇が急速に進行したことと、中国の富裕層が上質な香木の価値に目覚めてしまったこととは、大いに関連性が認められます。
関西に僅かしか存在しなかった我が国の香木専門輸入業者が需要と供給とのバランスを取ってコントロールできていた時代には、貴重な香木資源を、上手に扱うことができていたと言えます。
その結果、何十年にも亘って、価格の相場はさほど大きくは変動しなかったのです。

一方、中国は、大昔から重要な経由地ではあったものの、我が国ほど活発な需要が興ることはなく、香港に3社ほどが輸出入の拠点を構えていた程度でした。
そして、昭和時代を中心として数十年のうちに我が国の香木専門業者が輸入した香木は、最上質の伽羅の塊だけでもおよそ4tを超えると思われます。

情勢に変化が起き始めたのは、平成時代に入った頃だったと思います。
翡翠や赤サンゴ、マンモスの牙などと同様に、上質な香木、とりわけ伽羅が最高級の加工品(ブレスレットの玉やペンダントヘッド等の彫刻作品)を創り出す材料として高い評価を得はじめたのです。

陳文武さん作品①IMG_9439

陳文武さん作品④IMG_9435

(上の写真は、いずれも福建省の陳 文武氏の作品です)

やがて福建省のある地域に加工業者のビルが林立するまでになり、彼らは上質の伽羅や沈香を求めて世界中を探し回り始めました。
富裕層が高級な進物として加工品を発注するため、材料が大量に必要になったからです。
日本の各地には、数十年前に私達を含めた専門業者が販売した上質な伽羅や沈香が眠っていましたから、彼らは頻繁に来日して、現金を携えて全国をくまなく巡って買い漁りました。
かつては1g当たり数千円以下で先代・先々代が購入したものを、その数倍から10倍の現金で買い取ると言われれば、相手が誰であろうと喜んで手放してしまうのも無理からぬことと思います。

そうこうしているうちに、香木の価値や見分け方も解らない中国人の間にも香木ブームが広がり、それこそ猫も杓子も香木を求めて来日する事態となりました。
そして私たちのコントロールが効かなくなった香木の価格は瞬く間に高騰し、上質の香木は益々入手困難な状況に陥ってしまいました。
今では、日本よりも中国の方が多くの香木を所蔵しているように思えます。

聞香に適するような上質の香木を安定して確保できる手立ては無いものかと常に模索を続けていますが、その一環として試みたのが、中国の業者から「買い戻す」というアイデアでした。

彼らは最高級の贈答品を作るために最上質の香木を探し出して高価で買い取り加工するわけで、決して香りを愉しむことが目的では無い筈ですから、加工後の屑(クズ以外の表現を考えてみたのですが思い付かず…)を不用品として安価で引き取ることが出来れば、皆さまのお役に立てるはずと考えました。

徳用版シリーズ№6

上の写真が、買い戻した「玉の加工屑」の一部です。
材質は上質な伽羅で苦・甘・辛・鹹(少々)を具えており、力強い香気を放ちます。
残念ながら一木とは言えないようですが品質は安定しています。

買い戻しには成功しましたが、価格は希望したほどには安くなりませんでした。その理由は、「中国でも聞香を楽しむ人々が増えていて、上質の伽羅は欠片でも需要があるから」とのことです。
しかも、買い戻せたのは僅かな量で、少しずつ分木するとしても、さほど長くはもたないであろうと思われます。

上質な緑油伽羅ではありますが一木ではなく、また「玉の加工屑」であるため、徳用版の扱いにしました。
ひとかけらずつ丁寧に截香して「小割」状に加工させていただきます。
柔らかい伽羅ですから、カッターナイフ等で適当なサイズに切ってお使い下さい。

徳用版シリーズ№6②

徳用版シリーズ№6③

いかにも伽羅!という ❝喉の奥に絡みつくような❞ 力強い香気が特長の貴重な緑油伽羅を、「徳用版シリーズ」にて分木させていただきます。
この機会にぜひお求め下さいます様、推奨いたします。

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