8月聞香会のメニューを決めました!

賢章院スモタラ①

来たる18日に開催の聞香会(寸門陀羅)は、次の通りのメニューで行なうことに決め、準備を完了しました。
(縦書きのメニューをそのまま貼り付けます)
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八月の聞香会~香木三昧のつどい~
「さまざまな寸門陀羅を聞き比べる」メニュー

一. 仮銘 空の通ひ路(インドネシア産沈香)
夏と秋と行きかふ空のかよひじはかたへすずしき風や吹くらむ
                        (凡河内躬恒)
二. 仮銘 袖のこほり(インドネシア産沈香)
冬の夜の空さへ冴えて澄む月はやどるも袖のこほりとぞなる
                       (権大納言道方)
三. 仮銘 春ゆく水(インドネシア産沈香)
ちくま川春ゆく水はすみにけりきえていくかの峰のしら雪
                          (順徳院)
四. 無銘 スモタラ(賢章院旧蔵)(黄熟香と思われます)
五. 仮銘 子の節(このよ)(インドネシア産黄熟香)
年経ぬる竹の齢を返しても子の節を長く為さむとぞ思ふ
                          (冷泉院)
六. 仮銘 露しぐれ(インドネシア産沈香)
露しぐれもる山陰の下紅葉ぬるともをらん秋の形見に 
                           (家隆)
七. 仮銘 木間(このま)(インドネシア産沈香)
夕づく日よそにくれぬるこのまよりさしくる月の影ぞ涼しき
                         (後宇多院)

(注)賢章院旧蔵のスモタラは分木(聞香会セット)の対象外となります。ご諒承のほどお願い申し上げます。

日時 令和三年八月十八日
午前十時~十二時、午後二時~四時
場所 麻布香雅堂 守拙庵
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今月は、志野流香道の皆さまには昔懐かしい近代の名香「仮銘 露しぐれ」・「仮銘 木間」を炷き出し、更に聞香会セットにも各2炷分を分木させていただくことに決めました。
後者は江戸時代に関西の某家に所蔵されていた数本の無銘香木の一つで、前者もそれに劣らぬ古木の味わいを堪能させてくれる逸品です。
いずれも同じくインドネシア産である佐曾羅との相違を明らかに示し、木所の特徴を明瞭にしてくれるものと期待できます。

露しぐれ①

露しぐれ③

「仮銘 露しぐれ」は、元の植物の状態が想像し辛いほど不思議な顔をしています。木目も複雑に流れており、素直に截香することは叶いません。

木間

「仮銘 木間」は一見して素直そうな見掛けですが、実は無数の小節の痕が残されており、木目は皺状で、歴史的名香の『縮(ちぢみ)』に似ています。

さて冒頭の写真ですが、賢章院旧蔵の『スモタラ』です。
御家流香道の皆さまに江戸時代に実際に炷かれていた寸門陀羅の一例を味わって戴きたく、淡交社主催の名香鑑賞会に炷き出したのと同じ香木を、選んでみました。
下の写真でお判りいただけるように、インドネシアに産出する黄熟香と思われます。
実際にインドネシアから輸入した現代の黄熟香「仮銘 子の節」と聞き比べていただき、その違いを味わって戴ければ幸いに存じます。

賢章院スモタラ②

新型コロナの感染状況が予断を許さない中、対策を十分に講じて定員を減らして開催する予定です。
どうぞこの機会にインドネシア産沈香の奥深い魅力の一端に触れ、寸門陀羅という木所の面白さを共に味わって下さいます様、お奨め申し上げます。

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